製造業の売上を間違いなく管理するポイントは?着手金や保守費用など具体例で確認

製造業の売上を間違いなく管理するポイントは?着手金や保守費用など具体例で確認

こんにちは。「KIMERA」コンサルティングチームの花田です。

B to Bの製造業で、特にIoT機器を製造・販売している企業では、ハードウェアの販売費用と、月額利用料の売上計上タイミングが異なることが多くあります。ハードウェアの販売費用は単発計上、ハードウェアの利用料は年間契約などで年1回の請求となるため、契約更新日を忘れることも多く、翌年の契約更新漏れをなくしたいというお悩みを耳にします。

また、「1年契約だけど請求書は毎月発行」、「資金に余裕が出るまでは着手金を請求するが、そのうち定額のサブスクリプションを採用したい」など会社によって様々な悩みがあります。

当記事では具体的な取引例を用いて、収益認識基準をふまえた売上管理の方法と、請求管理を最適化する方法について解説します。

1.新収益認識基準とは

当記事の冒頭で例を挙げたハードウェアの販売費用と、月額利用料の売上計上タイミングが異なることや、各取引の請求タイミングの違いについて理解するためには、新収益認識基準の考え方が必要です。この章では、新収益認識基準の5つのステップと具体的な取引例を3つ解説します。

(1)新収益認識基準の5つのステップ

新収益認識基準とは、日本の会計基準を国際会計基準に合わせることを目的に、「収益認識基準に関する会計基準」として定められたものです。従来の収益認識基準では、「出荷基準」「納品基準」「検収基準」などの基準に従い、収益を計上するタイミングを企業が自由に設定することが認められていたため、企業によって収益計上タイミングが異なるという課題がありました。そこで、新収益認識基準では、「履行義務が充足したタイミング」に応じて収益を認識するように統一が図られました。それでは、新収益認識基準の5つのステップについて解説します。

①顧客との契約の識別

顧客との契約の識別とは、顧客に対してどのような製品やサービスを提供する契約であるかを特定することです。契約により、売り手は契約した製品やサービスを提供する義務を負います。買い手は対価を支払うことにより、その製品やサービスを受けとる権利が得られます。

②履行義務の識別

履行義務の識別とは、1つの契約の中でどのような製品やサービスを提供するかを細分化することです。例えば製品の提供と、その製品に関するサービスを提供する契約であれば、製品提供時とサービス提供時の2つが履行義務となります。たとえ1つの契約であっても2つの履行義務として分けて考えることが必要です。

③取引価格の算定

取引価格の算定とは、契約した製品やサービスの提供価格を決定することです。ステップ2では、製品の提供とサービスの提供は2つの履行義務であると説明しましたが、いったんは製品とサービスの合計を取引価格として決定します。

④履行義務への取引価格の配分

履行義務への取引価格の配分とは、ステップ3で決定した取引価格を、履行義務ごとの金額に配分することです。ステップ2の例でいうと、ステップ3で決定した取引価格を、ステップ2で決定した製品とサービスの金額に配分することをいいます。

⑤履行義務の充足による収益の認識

履行義務の充足による収益の認識とは、製品やサービスの顧客への提供を履行義務の充足ととられ収益を認識することです。ステップ2の例では、製品の提供完了時と、製品に関するサービス提供完了時の2つが履行義務の充足時点として収益を認識します。

(2)具体的な取引例 

ここからは具体的な取引例を用いて、新収益認識基準の5つのステップについて解説します。この取引例は、次の章以降も使いますので、一連の流れとしてご理解ください。

<取引例>

①IoT機器の製造・販売を行うA社は、顧客B社に対し、専用ソフトウェアを導入したPCの販売と、納入以降3年間の保守契約を締結。
②契約はX1年度首に締結し、PC納入はX2年度、保守契約はX3年度首から3年間とする。
③契約金額は、PCの販売が40万円、3年間の保守費用は合計36万円とする。
④PC及び保守にかかる費用は、PC30万円(X1年度に20万円、X2年度に10万円)、保守18万円(各年度6万円)、その他の経費として毎年3万円かかるものとします。

<収益認識方法>

①顧客に対し、PCの販売とソフトウェアの保守を提供する契約です。
②取引価格は、PCの販売が40万円、保守の提供が3年間で36万円です。
③PCの販売に対する履行義務は、PCを販売したX2年度に充足し、その後の保守の提供は、3年間にわたって等しく行う必要があるため、X3年度から毎年12万円ずつ一定額で充足します。
④売上原価はPCが30万円、保守が各年度6万円、経費は売上に関係なく各年度3万円となります。


X1年度X2年度X3年度X4年度X5年度合計
売上04012121276
売上原価03066648
経費3333315
利益△3733313
(単位:万円)

2.売上と請求(入金)管理は別問題

前項では新収益認識基準の5つのステップを具体例とあわせて確認しました。この事例では、PCの販売は一時点、保守費用は期間の経過に伴い認識することがわかりました。

では、売上代金の請求はどのように行うのでしょうか。売上代金の請求は、顧客との交渉次第で比較的自由に決定することができるため、必ずしも売上計上とは一致しません。この章では入金タイミングが早いものから順に、3つの具体例を解説します。

売上と請求(入金)管理は別の問題

(1)着手金の請求に加え保守費用3年分を前払いで受け取る場合

1つめの事例は、契約締結時点で着手金30万円、PC納入時点でPCの残金、保守契約の開始時点で3年分の保守費用を一括で受け取る場合です。PCの納入や保守の開始時点でほとんどの費用が回収できているため、現金の収支管理という面ではリスクがとても低い状態といえます。

この事例で注意すべき点としては、着手金や3年分の保守費用を受け取った際に、PCの納入完了や保守期間が経過するまでの間は、前受金として計上する必要があることです。その後、PCの納入や保守の提供が完了した時点で前受金の取崩しを行います。


X1年度X2年度X3年度X4年度X5年度合計
期首残高3035305748
収入3010360076
支出251599967
期末残高3530574839 -
(単位:万円)

(2)PC納入時点及び各年度の保守開始時点で代金を受け取る場合

2つめの事例は、PC納入時点で40万円、各年度の保守開始時点で12万円ずつ受け取る場合です。PCの納入や保守の提供にあわせて代金を請求する一般的な事例といえます。


X1年度X2年度X3年度X4年度X5年度合計
期首残高305303336
収入04012121276
支出251599967
期末残高530333639 -
(単位:万円)

(3)サブスクリプション形式を採用し、顧客への導入時点から毎年25万円ずつ受け取る場合

3つめの事例は、これまでの①および②と前提が変わりますが、サブスクリプションを採用し、顧客への導入時点から毎年25万円ずつを定額で受け取る場合についてです。この事例は製品と保守の提供が開始した時点で毎年一定額を請求するサブスクリプションを採用しており、請求業務は非常に簡略化されています。

しかしながら、この事例には大きな問題があります。最初の請求を製品と保守の提供開始後に遅らせていることで、X2年度の残高がマイナスとなっています。この状態では仕入代金や経費の支払いを行うことができないため、たとえ売上や利益が出る事業であっても会社は倒産してしまいます。資金に余裕が出るまでは、売上代金の回収はできるだけ早く、仕入れや経費の支払はできるだけ遅くなるよう、検討する交渉することが重要です。


X1年度X2年度X3年度X4年度X5年度合計
期首残高305△10622
収入0025252575
支出251599967
期末残高5△1062238 -
  (単位:万円)

3.資金繰りにおいて注意すべきポイント 

全項では売上代金の請求方法が変わることにより、現金収支に大きな違いが生まれ、場合によっては倒産する可能性があることを解説しました。この章では、会社が倒産しないよう収支管理を行うために、資金繰りにおいて注意すべきポイントを3つ解説します。

(1)黒字であってもお金がなければ倒産する

資金繰りにおいて注意すべきポイントの1つめは、黒字であってもお金がなければ倒産することです。売上及び利益の増加は事業を継続していくためには必要不可欠です。しかしながら、たとえ売上や利益が増加していたとしても、売上が入金されるまでに、仕入れ代金やその他の経費の支払い時期が到来し、会社が倒産する事例が数多く発生しています。すぐに売上代金が入金されるとしても、それまでに必要な支払いを行わないと事業は継続できないことを理解しましょう。

(2)資金繰り表を作成する

2つめは資金繰り表を作成することです。資金繰り表とは、収入と支出を見える化し、お金の流れを把握するために作成する表のことをいいます。資金繰り表は、現在の実績を起点として少なくとも3ヶ月、できれば6ヶ月分の見込みを作成しておくとよいでしょう。資金繰り表を作成することで、売上代金の入金までに必要な仕入れ代金や経費の支払いが可能かどうか、もし不足が生じているのであればいつまでにいくら準備しなければならないかを、前もって把握することができます。「気づいたら支払いに必要なお金がなかった」という状態にならないよう注意しましょう。

(3)請求もれを起こさない

3つめは請求もれを起こさないことです。一般的に製品やサービスを提供時に、売上代金に対する売掛金を計上し、月末締め翌月払いなど一定の基準で代金を請求します。しかしながら、売掛金管理帳簿の見落としや、営業部門との連絡もれなどを理由とした請求書の作成や送付忘れにより、請求もれが発生することがあります。

通常のお金の流れとしては、先に仕入れ代金を支払い、製品販売後にその代金を回収するため、請求もれが発生すると、仕入れ代金の回収がさらに遅れ資金繰りが悪化します。また、請求もれを理由に取引先との関係が悪化し取引を継続できなくなるリスクもあるため、請求管理は非常に重要な業務となります。

4.請求管理を最適化する方法

ここまでは、売上と請求のタイミングが異なることや、資金繰りにおいて注意すべきポイントを解説してきました。請求のタイミングは顧客との契約により決まるため管理が複雑なだけでなく、ひとたび請求もれを起こすと、取引先への支払いが滞り、最悪倒産する可能性があります。このような重要かつ手間のかかる業務を効率よく行う方法の1つが請求管理システムの導入です。最後に、請求管理システムにより効率化できることを3つご紹介します。

(1)請求業務にかかる多大な時間を削減したい

1つめは、請求業務にかかる多大な時間を削減できることです。

請求書を発行する際には、顧客ごとに異なる契約条件を確認し、請求もれや二重請求などの誤りがないよう細心の注意を払う必要があります。また、毎月定額を請求するような場合は、請求件数も多くなり、それだけで多くの手間が発生します。請求管理システムでは、決まった金額を決まった期間で請求するよう登録することで、自動的に請求書を作成することができます。

(2)年間契約や複数年度にわたる契約の売上を期間按分して計上したい

2つめは、年間契約や複数年度にわたる保守契約などの売上を期間按分して計上できることです。

保守契約は期間の経過により履行義務を充足することより、売上は期間の経過にあわせて月数按分して計上する必要があります。請求管理システムでは、一括で請求する金額を決まった回数で按分して計上するよう登録することで、自動的に按分計上することができます。

(3)売掛金や前受金の管理をシステムで行いたい

3つめは、売掛金や前受金の管理も請求管理システムで行えることです。

「取引先から売掛金が入金されたけど、どの請求書の入金かがわからない」といった経験はないでしょうか。請求管理システムを導入することで、売掛金の消込作業を自動化できます。また、売上の月数按分や入金データを組み合わせることで、前受金の消込も効率よく行えます。

3.まとめ

請求管理は、1件のミスが顧客の信用失墜につながるため、顧客ごとに異なる契約条件を確認し、請求もれや二重請求などの誤りがないよう細心の注意が必要です。また、請求もれが発生すると、仕入れ代金の回収が遅れるため、資金繰りの悪化や最悪の場合倒産する可能性もあります。請求もれを防ぎ、時間のかかる請求業務を効率よく行う方法の1つが請求管理システムの導入です。

請求管理システムの導入により、請求もれや請求業務にかかる多大な時間を削減することができるため、このようなお悩みを抱えている場合は請求管理システムの導入検討をおすすめします。

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