費用収益対応の原則とは?例外はある?定義と具体例を詳しく解説

費用収益対応の原則とは?例外はある?定義と具体例を詳しく解説

こんにちは。「KIMERA」コンサルティングチームの花田です。

この記事では会計関連の話題でよく耳にする「費用収益対応の原則」についてわかりやすく解説します。またSaaSビジネスの経理実務において、費用収益対応の原則を守るために留意するポイントや、例外が認められる場合についても具体的にご紹介します。

費用収益対応の原則とは

企業会計原則における費用収益対応の原則

費用収益対応の原則とは、会計上のルールの一つです。簡単に言い換えるならば“損益計算書には、収益に対応する費用を計上する”という決まりのことです。

日本の会計のルールブックである「企業会計原則」には次のように記載されています。

「損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。」

出典:企業会計原則 第二 損益計算書原則 一 損益計算書の本質

ここでは損益計算書の本質として、収益と対応する費用を記載するよう定めています。

また後段では下記のように記載があります。

「費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。」

出典:企業会計原則 第二 損益計算書原則 一 損益計算書の本質

ここでも、それぞれの収益と、それに関連する費用を対応表示することが要求されています。

費用収益対応の具体例

例えば、あるソフトウェアを1本3,000円で販売し、ある月に合計10本売れたとします。そのソフトウェアを作るのにかかった原価は1本あたり2,000円でした。この場合、その月に売上高を3,000円×10本=30,000円計上すると同時に、売上原価を2,000円×10本=20,000円計上します。

このように、売上という「収益」に対応する「費用」を計上する、というルールが費用収益対応の原則です。損益計算書上に表示された売上を生み出すためにかかった費用を、同じ損益計算書に載せる、というのがポイントになります。

費用収益対応の原則の意義

費用収益対応の原則は、収益(結果)に費用(原因)を対応させることで、費用と収益を明確に結び付け、当期の利益を正しく算出するためのルールです。

通常、費用と収益は同時に発生するわけではなく、タイムラグがあります。例えば、製造業の場合、まず材料を仕入れる費用が発生します。次に製造に係る人件費が発生するでしょう。その後、製品が完成し、顧客へ納品された後で、初めて収益が発生します。

これらをすべて発生した月にそのまま計上してしまうと、ある月は費用が先行して計上され、後の月に収益が大きく計上されることになってしまいます。

費用収益対応の原則に沿って、当期の収益と因果関係のある費用を同じ期の費用として計上することで、事業活動の利益を明確に表示できます。

費用収益対応の原則のメリット

費用収益対応の原則にはさまざまなメリットがあります。

費用収益対応の原則の3つのメリットとは?

1. 費用の分配

減価償却費をイメージしてみてください。固定資産の減価償却を行う理由の一つに、この費用収益対応の原則があります。資産の購入時に全額を費用計上してしまうと、その資産が生み出す収益に対応しなくなってしまいます。

そのため、収益に貢献すると見積もられる一定の期間に渡って、費用を分配して計上する意味で減価償却が行われます。この原則のおかげで、コストが長い期間にわたって分配され、一時点でコストが過大に計上されることを防ぐとともに、資産の価値を正確に表すことができるのです。

2. 正確な報告

もう1つのメリットは、収益と費用が同時に計上されるため、事業運営の結果について、より正確な報告がなされるという点です。

出費時に費用が一括して計上されたり、収益との対応関係がなくバラバラに計上されたりすると、その事業の実態が不明確になってしまいます。費用収益対応の原則によって、その収益を生み出すのにどれだけの費用が必要であったかが、明確になります。

3. 企業の収益性に対する適切な認識

費用収益対応の原則によって、その企業が費用に見合った収益を上げているか?が明らかになります。これにより、企業の収益性や効率的な運用能力について、合理的な情報を投資家に提供することができるのです。

費用と収益の関係性

費用と収益の対応関係は、①個別対応 ②期間対応の2つに大別できます。

① 個別対応

費用収益対応の原則における個別対応とは、商品ごとまたはサービスごとに収益と費用の直接の対応関係がある場合の対応です。

これは売れたモノ・サービスを基準に考える対応関係です。売上高と売上原価の関係が代表的な例と言えるでしょう。ある商品の売上高を計上する際には、同時にその商品を製造するのにかかった費用が計上されます。

前述の販売価格3,000円のソフトウェアと2,000円の売上原価の関係は個別対応といえます。なお、この際に売れ残った商品の原価は損益計算書には記載されません。対応する収益・生み出した売上がまだ存在しないためです。これらは在庫としてBS上にのみ記載されることになります。

② 期間対応

一方、個別の商品やサービスに紐づけられないコストは、期間ごとに損益計算書に記載されます。一般管理費は期間対応の代表的な例です。

管理部門の人員の人件費や事務所の賃料などは、間接的に企業の収益を生み出すことに貢献していますが、特定の製品の売上、サービスの提供に結び付けることはできません。そのため月次決算書においてはその月に発生した費用、年次においてはその年度に発生した費用が損益計算書に記載されることになります。

費用収益対応と発生主義との関係

多くの経理担当者は、収益は実現したときに認識し、費用は発生したときに認識する、という考え方を学習したのではないでしょうか。「実現主義」と「発生主義」と呼ばれる考え方です。

しかし、「費用収益対応の原則」は、費用は発生したときに認識するべきとする「発生主義」と一見矛盾するように思えます。費用が発生しても、対応する収益と同時に認識しなければならないのであれば、先行して発生した費用を損益計算書に載せられないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは「発生」という言葉の意味を正しく認識することがポイントになります。発生主義の分かりやすい例は、文房具です。文房具は簡便的に購入時に全額費用として計上される場合が多いものの、本来の厳密な処理では、購入した時点で「消耗品」などの資産科目に計上されます。その後、使用しはじめた時点で費用になります。この意味では「発生」は使用したときなのです。

製品やサービスを販売する事業において、製品やサービスは完成しただけでは売上原価は計上されず、売れたときに初めて売上原価が認識されます。「発生」は使用した時点に起きる出来事であると捉えると、売上原価については“売れた時=発生したとき”と考えることができます。

一方で、オフィスの水道光熱費や事務所の賃料などは、未払や前払の状態であっても、水道や電気を使った時点で、またオフィスを借りて使用開始した時点で費用が認識されます。これは発生主義に沿うと同時に、費用収益対応の原則において期間対応をしていると捉えることができます。

このため、発生主義と費用収益対応の原則は決して相容れないルールではなく、発生主義の一環に費用収益対応の原則が存在する、というイメージを持つと、より的確にこれらのルールを理解することができるでしょう。

SaaSビジネスにおける費用収益対応の原則

SaaSビジネスやサブスクリプションビジネスにおいても、費用収益対応の原則は重要なルールです。ただ、目に見えるものを製造し売り切って完結するビジネスとは異なり、サービスの構築、サポートのコストなどの要素も考慮しなければなりません。

SaaS企業が収益に対応させるべき費用として、特に意識するべきポイントは下記の3つがあります。

1. サービスの作成コスト

サービスを構築するにあたって購入したソフトウェア、ライセンスを購入して使用しているツールなどのコストも発生し得るでしょう。また開発に要した人件費は、サービスの原価の中で大きな部分を占めます。販売を見込んでいるサービスやシステムに正しく、効率よく紐づけられる運用がポイントになります。

2. 導入支援コスト

そのサービスを顧客に使ってもらうためのトレーニングや、各種の設定に費やしたコストを把握しましょう。実装プロジェクトの工数も含め、導入に要した費用をすべて集計する必要があります。そのサービスが販売されたときに、適切にコストを認識できるように整理しておかなければなりません。

3. 保守/サポート人件費

顧客のサポートや、サービスの保守に費やしたコストも重要です。開発・導入段階だけではなく、サポートとメンテナンス、保守に費やした時間も把握しておくことが必要になります。

これらの項目を正確に把握し、収益と紐づけて管理しておくことが、SaaSビジネスの費用収益対応の原則には不可欠です。

また、BtoCビジネスの場合は、クレジットカード決済手数料などの決済手数料が発生する場合があります。これらを販売費とするか、売上原価とするかは、金額の重要性などによって異なります。

いずれの場合も、一貫性と明確な処理、その合理的な説明が必要になるため、監査法人や顧問税理士などと相談し、適切な処理方法を定めておきましょう。

費用収益対応の原則、例外は?

費用収益対応の原則は、重要性が乏しいときのみ例外が認められています。

重要性の原則について、企業会計原則では次のように記述されています。

企業会計は、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うべきものであるが、企業会計が目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められる。

企業会計原則

これは重要性の乏しいものについては、原則的な会計処理ではなく他の方法で処理することを容認するものです。たとえば、貯蔵品や消耗品は本来、消費した期に費用化することにより、収益との対応が図られます。ただし、重要性がない場合は、購入した期に費用化することが認められます。この場合、収益との対応はなく、費用収益対応の原則の例外となります。

質的な重要性(取引内容による基準)

では、個々の取引、仕訳が重要性の乏しいものかどうか、どのように判断できるでしょうか。この点に関して、具体的で一律の基準があるわけではありません。一般的に重要性の原則には「質的な重要性」と「量的な重要性」があるとされています。

質的重要性とは、金額の大小に関係なく、その取引が業務上重要であるか否かという点を重視する基準です。質的重要性で判断するものの代表は、現金や預金の勘定です。これらは質的重要性という観点から重要性の原則は適用されず、厳格な処理が求められます。

このほかにも、親会社や子会社など関連当事者との取引、役員報酬や、M&A(合併や買収)に関する取引は金額にかかわらず、質的に重要性が高いとされる場合が多いようです。

量的な重要性(金額基準)

量的な重要性の観点では、例えば『税引前当期純利益の5%の金額』などの基準が設けられ、その金額より小さければ重要性が乏しいと判断するという運用を行っている企業があります。

その時の状況により別の数値基準が採用されることもありますが、各企業は重要性判断における原則的な金額基準値を持っています。

重要性の判断については、最終的には監査法人の指示に従うことになるため、監査法人と十分な協議を行い、費用収益対応の原則の例外として取り扱える科目や、金額基準のめやすを把握しておくことをおすすめします。

まとめ

SaaSビジネスの収益計上や、契約形態や提供サービスの多様化、また新収益認識基準の適用により複雑化していきます。その中で費用収益対応の原則に沿うために、対応する原価の管理も煩雑になりがちです。

また、サービス構築にかかる工数を集計する必要があるなど、SaaSならではのコスト管理・集計が求められるため、適切な費用収益対応は容易なものではありません。

効率よく費用と収益を対応させるには、まず収益を正確に管理することが不可欠です。契約ごとの内容、収益の計上の仕方を一元管理、可視化し、対応するコストを適切に効率よく計上できる仕組みが大前提となります。

契約情報や月次での収益計上を自動的に行える請求管理システムの導入を検討してみましょう。正しく収益を認識することで、適切に費用を対応させ管理することができるでしょう。

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