Web請求書の保存ルールは?発行側・受取側の管理方法や期限を徹底解説

Web請求書の保存ルールは?発行側・受取側の管理方法や期限を徹底解説

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

事業を行う法人や個人事業主であれば、必ず対応しなければならない業務の一つが請求書管理です。

従来は紙面でのやりとりが常識となっていましたが、在宅勤務やテレワークによる新しい働き方の普及に伴い、web請求書を導入する企業が増加傾向にあります。今回は、紙面の請求書の管理方法とweb請求書導入によるメリットとデメリットについて解説します。

請求書管理とは

請求書は事業を行う法人や個人事業主であれば、必ず発行したり受領したりする帳簿書類になります。

帳簿書類には、国税関係帳簿と呼ばれる総勘定元帳や仕訳帳に加え、国税関係書類と呼ばれる契約書、請求書、注文書など多数の書類があり、日々の取引でやりとりされています。

これらの帳簿書類は法律による保存が義務付けられているため、なかでも特に取引回数の多い請求書の管理方法について詳細に解説します。

請求書の管理方法

請求書は、法律により保管期限が定められており、法人は7年、個人は5年の保管が必要で(いずれも例外あり)、全期間を通算すると膨大な請求書の保管が必要です。ここでいう請求書は、「自社が発行する請求書」と「取引先から受領する請求書」の2種類です。この2種類の請求書それぞれについて、保管期限と適切な管理方法を解説します。

請求書の保管期限

請求書の保管期限について、法人と個人それぞれの場合について解説します。

①法人の場合

法人は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければならないとされています。よって、3月末決算会社の場合、5月末が確定申告書の提出期限になりますので、6月1日から7年後の5月31日までが請求書の保管期限となります。請求書の日付から7年間ではないことに注意しましょう。

ただし、平成30年4月1日以後に開始する青色申告書を提出した事業年度で欠損金が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金額が生じた事業年度においては、帳簿書類の保管期限が10年間となります。

②個人事業主の場合

個人事業主における請求書の保管期限は、所得税法により、青色申告、白色申告にかかわらず5年間です。ただし帳簿は7年間保管する必要があるため、請求書も合わせて7年間保管しておくのもよいでしょう。

一方で消費税法により定められている消費税の納税義務者は7年間の保管義務が定められています。このような場合、保管期限が長い法律が優先されるため、個人事業主であったとしても7年間の保管が必要です。

請求書の保管期限
区分書類保管期限備考
法人帳簿(注1)及び 書類(注2)7年その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間
10年青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。
個人帳簿7年収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)
5年業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)
書類5年決算に関して作成した棚卸表その他の書類
5年業務に関して作成し、又は受領した請求書、又は受付した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類

(注1)帳簿には、総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳などがあります。
(注2)書類には、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、請求書、領収書などがあります。

請求書の保管方法

ここからは自社が発行した請求書と他社から受領した請求書それぞれの保管方法について解説します。2種類の請求書をしっかり分類して保管できていないと、未入金や未払いに気づかず、場合によっては取引先に迷惑をかけ、会社の信用問題に発展する可能性があるので注意しましょう。

①自社が発行した請求書の保管方法

取引先に送付する請求書を作成後、実際に自社で請求書を管理するのは、送付した請求書の控えになります。請求書控えを管理する上で重要な点は、請求金額が入金されたかどうかという点です。この観点に沿って請求書を分類することで、トラブルなく管理することができます。

<未入金の請求書控え>

  • 請求書を発行したら、請求書の控えを「未入金請求書控え」として1つにまとめます。ここでは早く入金されたものから確認する必要があるため、支払い期限が早い順に並べておくのが効果的です。
  • 入金が確認できた請求書には、「入金済」の印や入金日を記載します。

<入金済の請求書控え>

入金済の請求書控えは、請求書番号順に並べ、月ごとにまとめておくのが効率的です。この方法は、請求書番号で発行の履歴が確認できるのと、連番で管理することで抜けや漏れがないかを確認しやすくなるのがメリットです。一方で、請求書の枚数や取引先が多い場合は、あとから必要な請求書を探すのに時間がかかるのがデメリットといえるでしょう。

②他社から受領した請求書の保管方法

続いて他社から受領した請求書の保管方法についてです。他社から受領した請求書の管理で重要なことは、支払いを行ったかどうかです。支払いもれや二重払いを起こさないための管理方法を解説します。

まず、他社から受領した請求書は、1か月の支払分を「未確認請求書」として1つにまとめます。

次に請求書の内容を確認し、問題がなければ「確認済請求書」として1つにまとめ、月末支払いのタイミングまでに支払いの承認を受けます。

支払いが完了した請求書は、支払済の印や支払日を記載し、二重払いを起こさないように注意します。支払済請求書は、支払日順に保管しておくことで、帳簿に計上される順番で確認ができるためおすすめです。

Web請求書で請求書管理を効率化しよう

ここまで紙面での請求書の保管期限や保管方法について解説してきました。請求書の作成は、エクセルを用いて管理台帳を作成し、そこから請求書を作成している場合が多いと想定します。請求書を印刷した後は封入や送付といった作業が発生します。

このような手作業を効率化する手段の1つが「Web請求書」です。ここからはWeb請求書の概要と導入に際してのメリットとデメリットを解説します。

Web請求書とは

請求書の発行は、紙に印刷して郵送するのが通常の流れとなっており、印刷代や郵送代に加え、請求書の封入や郵送するために多くの手作業が発生しています。そのような課題の解決策の1つが、「Web請求書」です。

Web請求書は、メールやクラウドサービスを活用してWeb上で請求書データやりとりするものです。Web上で請求書を作成し、取引先に通知メールを送付すると、取引先は通知メールにあるURLをクリックするだけで請求書の内容を確認することができます。また請求書データは閲覧するだけでなくダウンロードすることも可能なため、受け取った相手方は必要に応じて印刷することもできます。

新型コロナウィルスの影響で、在宅勤務やテレワークが促進されてきましたが、請求書の発行業務がネックとなり出社して対応せざるをえないといった問題が発生しました。そいういった背景もあり、Webを介してどこからでも請求書を発行できるWeb請求書を導入する企業が増えています。

電子帳簿保存法への対応

Web請求書を導入するにあたっては、電子帳簿保存法への対応を検討する必要があります。

電子帳簿保存法とは、原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について、一定の要件を満たすことで電子データによる保存を認める法律です。前項でもお伝えしたとおり、新型コロナウィルスの影響による在宅勤務やテレワークの増加により、積極的な電子化が進められていることもあり、令和3年度税制改正において、電子帳簿保存法の抜本的な改正が行われ、2022年1月より施行されています。

現行の電子帳簿保存法では、以下3種類の電子保存が認められており、それぞれに適用される帳簿・書類について以下の表にまとめています。Web請求書は以下の電子取引に該当します。

対象国税関係帳簿国税関係書類電子取引
決算関係書類取引関係書類
自社発行相手から受領
仕訳帳
総勘定元帳
補助元帳 等
貸借対照表
損益計算書
棚卸表 等
見積書
契約書
請求書 等
見積書
契約書
請求書 等
EDI、メール、クラウド等で取引した 見積書、契約書 請求書 等
申請方法帳簿・書類の申請スキャナの申請申請不要
保存方法電子帳簿等保存
電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存
スキャナ保存
紙で受領・作成した書類を画像データで保存
電子取引保存
電子的に授受した取引情報をデータのまま保存

続いて、電子取引保存を行う場合の要件について解説します。

要件内容
真実性の確保
右の4つのうちいずれかをみたす必要がある
1.タイムスタンプが付与された電子データを授受する
2.電子データを授受したあと、約2か月以内にタイムスタンプを付与し、保存者や監督者の情報が確認できる
3.電子データの操作履歴を確認できるシステムか、内容を変更できないシステムを使用する
4.改ざん防止のための事務処理規程を定めて、その規程を遵守する
可視性の確保
右の4つをすべて満たす必要がある
1.保存場所に、パソコン、プログラム、ディスプレイ、プリンタと、それらの操作マニュアルを備え付ける
2.電子データが秩序正しく整っており、かつ十分に判読できる状態でパソコンの画面や書面に速やかに出力できる(24年1月以降は、電子で受け取った請求書は電子のまま保存が必要)
3.パソコンなどで使用する処理システムの概要書を備え付ける
4.3つの帳簿の検索要件が備わっている(保存者が小規模な事業者でダウンロードの定めに応じることができる場合は、検索機能は不要)

Web請求書のメリットとデメリット

ここまではWeb請求書の概要と電子取引を行うにあたっての電子帳簿保存法の要件について解説しました。最後にWeb請求書のメリットとデメリットについて解説します。

<メリット>

項目内容
コスト削減Web請求書の導入により、紙・封筒や印刷代、郵便代などのコストに加え、請求書を作成する手間や発送業務、請求書を保管する場所代なども削減できます。
検索や管理が簡単大量の請求書を紙面で保管していると、その請求書を探すのに手間と時間がかかります。一方でWeb請求書の導入により検索や管理が容易になり、取引先からの問い合わせにも素早く回答することができます。
未達、紛失リスクの削減商品・サービスが増え売上が伸びるのはありがたいことですが、一方で請求業務が煩雑になり、請求書の送付先誤りや送付もれなどのヒューマンエラーが増加するリスクがあります。請求書は非常に重要な書類であり、取引先情報の漏洩は企業としての信頼を失うことにもつながるため注意が必要です。電子化することで、請求業務に関する手作業をなくすことができます。
請求書の訂正にも対応しやすい請求書の訂正が生じた場合、修正や再発行が必要になります。しかし、請求書を電子化することで、従来と比較してスムーズな対応が可能になります。
インターネットがあればどこでも利用できるインターネットとパソコンさえあれば、どこでも作業することができます。在宅勤務やテレワークでも対応することができ、現代の働き方に合う制度になっています。

<デメリット>

項目内容
取引先との関係Web請求書を導入した側にメリットがある一方で、相手方にとっては、Web上で請求書を受領することによる新たなシステムの導入や業務フローの見直しが必要になる可能性があります。
情報漏洩リスク一般で販売されているWeb請求書のサービスはセキュリティ面での信頼性も高くなっていますが、第三者に侵入されるリスクがゼロではないことに注意が必要です。
データ改ざんリスクWeb上の請求書データが第三者により改ざんされる可能性がある。請求書データが改ざんされていないことを証明するタイムスタンプは確実に対応する必要があります。

まとめ

請求書管理は、企業であれば7年から10年、個人では5年から7年の保管が必要になります。また、売上が増えて取引先の件数や取引先ごとの請求件数が増えると請求書の数が膨大となり、請求書管理が大きな負担となり、作業ミスが発生してしまう可能性が高まります。

その対策としてWeb請求書の導入がおすすめです。Web請求書を導入することで、これまで手作業で行っていた請求書の印刷や封入、発送業務を、請求書データをインターネット上にアップロードするだけで、取引先と共有することができます。在宅勤務やテレワークでも対応することができるため、現代の働き方に合う仕組みになっているため、ぜひご検討ください。

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