連結決算とは?連結財務諸表の作り方と作成義務についてわかりやすく解説

連結決算とは?連結財務諸表の作り方と作成義務についてわかりやすく解説

こんにちは。「KIMERA」コンサルティングチームの花田です。

近年、販売事業に加えてサブスクリプションビジネスへの参画など事業の多角化やM&Aの推進、企業のグローバル化に伴い、連結財務諸表が注目されるようになっています。この記事では連結財務諸表の基本的ルールと作り方、作成義務についてわかりやすく解説します。

連結決算とは

企業グループ全体の財政状態や経営成績、およびキャッシュフローの状況を把握するために行われるのが、連結決算です。子会社・関連会社を含めた企業グループ全体をひとつの組織とみなして、決算が行われます。

通常の決算で財務諸表が作成されるのと同様に、連結決算では「連結財務諸表」が作成されます。連結財務諸表には企業グループ内での取引を排除した、全体での正確な事業結果が算出されます。

どこまでが連結対象?

一言で「企業グループ」といっても、子会社だけではなく関連会社など、様々な関わり方のグループ企業が存在します。その中で、どこまでを連結決算の対象とするかは、①子会社であるかどうかと②重要性の2点で判断されます。

まずは、連結決算の対象である子会社の判断基準をチェックしていきましょう。

連結決算の対象としての子会社と見なされるのは、以下の条件を満たす場合です。

  • 議決権の過半数を所有している
  • 議決権を40~50%所有した上で、緊密者の議決権や役員関係が一定の条件を満たしている
  • 議決権を0~40%所有した上で、緊密者の議決権を合わせると過半数以上になり、役員関係が一定の条件を満たしている

上記の基準を満たす会社は、子会社として判定されます。

出典:企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第 22 号 「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」

参照:⑭企業会計基準適用指針第22号 (asb.or.jp)

ただし、上記の基準を満たしていても、別の条件を満たすことで連結決算の対象外となるケースがあります。これが②重要性の基準です。

以下の基準を満たす場合、その子会社は連結決算の対象外となることがあります。

  • 親会社による支配が一時的な企業:早期に売却などを予定している企業は連結対象に含めません。
  • 連結によって投資家などが意思決定の誤るリスクが高い企業:その企業を連結対象とすることで、かえって投資家の判断を誤らせる場合は、例外的に連結対象から外す場合があります。
  • 小規模経営のため重要性が低いと判断される企業:小規模経営の子会社は連結決算に含めなくても投資家が判断を誤るリスクが低いことなどから、連結決算の対象外とされる場合があります。

出典:企業会計基準委員会「企業会計基準第 22 号 連結財務諸表に関する会計基準
連結財務諸表作成における一般基準 連結の範囲

連結財務諸表とは

ここからは、連結決算によって作成される連結財務諸表について詳しく解説します。

連結財務諸表とは、連結決算の対象となる会社すべてをひとつの会社とみなして作成する財務諸表のことです。複数の企業から構成される企業グループの財政状態、経営成績などを総合的に表示するために作成されます。

連結財務諸表は基本的に下記の4点で構成されます。

  1. 連結貸借対照表
  2. 連結損益計算書
  3. 連結株主資本等変動計算書
  4. 連結キャッシュフロー計算書
連結財務諸表とは?

1. 連結貸借対照表

連結貸借対照表は、グループ会社全体の財務状態を示しています。単純に個々の会社の財務諸表を合算するだけでなく、グループ内部間の債権債務の相殺消去や、親会社の投資と子会社の資本の相殺消去が必要になります。

親子会社間の売掛金と買掛金は相殺消去されます。そのほかにも、前払費用、未収収益、前受収益および未払費用などについても、連結会社相互間の取引に関するものは消去されます。

また、親会社が保有する子会社株式が、投資勘定として親会社の資産に計上され、子会社が自己株式として資本に計上している場合、単純に合算すると同一のものが二重に計上されることになるので、相殺消去を行います。

2. 連結損益計算書

企業グループ全体での経営成績を表したものです。親会社と子会社の収益費用を合算して1つの損益計算書を作成することで、全体としての損益を算出します。

損益計算書上では連結会社相互間の取引高の相殺消去がポイントになります。親子間での売買取引などの金額は消去され、外部との取引高のみが連結損益計算書上に残ることになります。

売買だけではなく支払手数料/受取手数料などの発生する取引があった場合も、相殺消去されます。

3. 連結株主資本等変動計算書

連結株主資本等変動計算書は、「連結SS」と呼ばれることもあります。純資産の部の変動事由を明らかにするために作成します。

純資産を株主資本、評価・換算差額、新株予約権、非支配株主持分の4つに分けて記載します。そして、株主資本の期中の変動額については変動した事由ごとに区分して記載します。株主資本以外の項目については同じように変動事由ごとに区分して表示するか、純額のみの表示とするかのどちらかが選択できます。

4. 連結キャッシュフロー計算書

企業グループ全体の会計期間における収入と支出の状況を表すものです。会計期間におけるキャッシュフローの状況を営業活動・投資活動・財務活動ごとに区分して表示します。

連結キャッシュフロー計算書の作り方には、各会社のキャッシュフロー計算書から作成する方法(原則法)、連結貸借対照表と連結損益計算書から作成する方法(簡便法)の2種類があります。

原則法では親会社及び子会社がそれぞれ個別キャッシュフロー計算書を作成しなければならず、連結会社相互間のキャッシュフロー取引の相殺が煩雑になることから、実務上は簡便法で作られることが一般的です。

連結財務諸表の作り方

ここからは、実際に連結財務諸表を作成する際の流れを順番にご紹介します。

(1)親会社・子会社それぞれが、個別財務諸表を作成する

通常の個別決算手続きに従って、グループ会社のそれぞれが個別財務諸表を作成します。

個別財務諸表の作成後に行われる連結決算を滞りなく進めるため、まずこの段階で各社が正確な財務諸表を作成しておくことがポイントです。

(2)子会社から連結決算に必要なデータを入手する

連結修正のために必要な情報をまとめたデータのことを子会社から収集します。必要なデータをまとめたものを「連結パッケージ」と呼ぶこともあります。

単体の財務諸表を作成する際に用いる情報だけではなく、連結決算では必要となる代表的に情報には親会社との取引高と、親会社から仕入れた商品のうち、外部に未だ販売していない商品の残高金額などがあります。

(3)親会社・子会社の個別財務諸表を合算する

ここからいわゆる「連結決算」とよばれる手続きに入ります。

親会社は、すべての子会社から個別財務諸表を入手し、まずはこれを合算(合計)します。

(4)親会社において、連結修正を行う

入手した連結パッケージに基づき、連結修正を行います。

ここでは、連結修正において頻出する親子間取引の相殺と、未実現利益の消去についてご紹介します。

1.親子間取引の相殺

親会社と子会社との間で行われる売買取引や借入・貸付などは、連結損益計算書では、すべて相殺しなければなりません。

例えば親会社Aが1,000円で仕入れた商品を、100%子会社であるBに1,200円で販売したとします。

この場合、A社とB社ではそれぞれ下記の仕訳が計上されます。

<親会社Aの仕訳>

仕入時:
商品1,000円買掛金など1,000円
B社への販売時:
B社への売掛金1,200円B社への売上1,200円
売上原価1,000商品1,000円

<子会社Bの仕訳>

商品1,200円A社への買掛金1,200円

その後、子会社Bでは当該商品を900円で外部に販売しました。子会社Bでは

売掛金900円売上900  円
売上原価1,200商品1,200円

という仕訳が計上されます。

A社の仕訳だけを見ると、1,000円で仕入れたものを1,200円で販売しているため、200円の利益が出ているように見えます。しかし販売先のB社は100%子会社であるため、A社とB社を一体のものとして考えると、1,000円で仕入れたものを900円で売っていることがわかり、赤字であることが判明します。

ここでもしA社単体で考えていたら、本来赤字であるものを黒字と認識してしまい、経営判断を誤ってしまうかもしれません。連結財務諸表においてはグループ外部に販売した900円の売上と、1,000円の売上原価のみが認識されるべきなのです。

そのため、連結修正仕訳として次の仕訳を計上します。

売上1,200円売上原価1,200円

A社とB社の間の取引を消去することにより、外部からの仕入金額=この場合の売上原価1,000円 と外部への売上金額900円が損益計算書上に残ることになります。

このような仕訳は「連結修正仕訳」または「連結相殺仕訳」などと呼ばれます。

2.未実現損益の消去

未実現損益とは、親子間取引の結果、外部へ販売されずグループ内部に残されている商品に計上されている利益のことです。

前述の例で、子会社Bが外部に商品を販売しなかった場合を考えてみましょう。

親会社Aが1,000円で仕入れた商品を、子会社Bに1,200円で販売しました。A社とB社においては上記の例と同様に下記の仕訳が計上されます。

<親会社Aの仕訳>

仕入時:
商品1,000円買掛金など1,000円
B社への販売時:
B社への売掛金1,200円B社への売上1,200円
売上原価1,000円商品1,000円

<子会社Bの仕訳>

商品1,200円A社への買掛金1,200円

ここまで計上された時点で期末日を迎えました。すると、子会社Bの貸借対照表の残高にA社から仕入れた1,200円が含まれています。ここには親会社が付した利益200円が残ったままになっています。そこで次の連結修正仕訳を行います。

売上原価200円商品200円

子会社のBの資産として計上されている1,200円から、利益部分の200円を控除する仕訳になります。

このような連結修正を「未実現利益の相殺消去」と呼びます。グループ外部に販売されていない利益は実現していない=「未実現」とみなし、連結決算においては消去されるのです。

連結財務諸表の作成義務

連結財務諸表の作成を義務付けられているのはどのような企業でしょうか。

連結決算の提出義務がある会社は、有価証券報告書提出会社となります。有価証券報告書提出会社とは、大部分は上場企業で、それ以外にも多くの株主が存在する会社や店頭登録している会社など、社会的に影響の大きい会社を指します。

その企業グループ全体の損益状況を見ることが投資家や株主、市場関係者にとって重要な判断材料となるため、連結決算を提出する義務があるのです。

なお、この連結決算については公認会計士や監査法人の監査を受ける必要があります。また、連結決算を含む有価証券報告書を正当な理由なく提出しなかったり、虚偽記載のある有価証券報告書を提出した場合は、課徴金や上場廃止などの罰則対象となります。

連結決算時の注意点

連結決算を正確に行うためには、親子間取引をしっかり管理しておくことが求められます。連結修正の対象となる取引の実態とその金額が明瞭になっている必要があるからです。

そのため、親会社・子会社間双方において、相手先別の勘定明細などで消去対象となる取引金額を把握しなければなりません。さらには、グループ全体で取引金額の全体像を正確にとらえる必要があり、全体を通じて売上高や売上原価、取引先との関係を把握できるシステムの活用や管理体制の構築が欠かせません。

親子間取引の管理が不十分だと、不足しているデータを追加で収集したり、修正を入れたりしながら決算を進めなければならず、負担が大きくなります。円滑に連結決算を行うためには、連結パッケージ作成などに関わる情報をこまめに子会社に共有することがポイントです。

まとめ

連結決算には親会社の経理担当者だけではなく、子会社の経理担当者の協力も不可欠です。様々なデータが必要となり、関係者の人数も増加するため、情報の一元化と効率化を行うことがスムーズな連結決算手続きにつながります。

また、連結決算業務の負荷は多大なものとなるため、日次業務はできるだけ自動化し、決算期に担当者が連結業務に集中できるような体制づくりが必要です。請求業務や売上計上などの通常業務については、クラウドサービスやシステムを導入するなどして自動化を検討することをおすすめします。

また、システムを活用し適切な設定を行うことでグループ会社間の取引の集計が効率よく行える場合があります。連結決算に必要不可欠なデータ収集・情報共有についてもシステムやツールを有効活用していきましょう。

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