サブスクリプションビジネスの経理をもっとスムーズに!課題を洗い出して効率化する方法は?

サブスクリプションビジネスの経理をもっとスムーズに!課題を洗い出して効率化する方法は?

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

サブスクリプションビジネスの経理は処理が煩雑になりがちです。経理担当者の残業時間も多くなるため、スムーズに業務を行いたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、経理担当者や経営者の皆さまに向けて、経理業務の課題を洗い出す方法やよくある課題、効率化の方法とメリットなどを紹介します。

サブスクリプションビジネスの経理とは

サブスクリプションビジネスの経理には、一般的な経理と同様に、「日次業務」、「月次業務」、「年次業務」があり、双方には正確でスピーディーに行わなければならないという共通点があります。ここでは、経理業務の中身を見ていきます。

日次業務

毎日行う経理業務が「日次業務」です。基本となる伝票起票や経費の精算、現金・預金の入出金など、日々の取引を記録する作業を主に行います。具体的には、以下のような業務があります。

日次業務の具体例

業務名業務内容
伝票の起票自社の起票ルールに従って、取引の内容を会計ソフトなどに入力します。経理の基本となる業務です。
経費の精算出張旅費や会議費、接待交際費など、使用した経費を精算する業務です。精算が遅れた場合は、経理担当者の負担が月末などに集中するため、日常的に行わなければならない業務です。
現金・預金の入出金現金や預金の管理も経理が行う重要な業務です。1日の終わりには、現金有高と現金出納帳残高が一致するか確認します。
債権・債務のチェック入出金があった際、債権・債務の台帳にも記録をします。入出金記録と台帳に相違があった場合は、原因を見つけて修正します。
日次業務の具体例

月次業務

月単位で行う経理業務は「月次業務」といいます。請求書にかかわる業務や月次決算など、企業の資金繰りや経営方針にも影響するため、重要な業務です。また、サブスクリプションビジネスでは、一般的な月次業務よりも時間のかかる業務となります。具体的には、以下のような業務があります。

月次業務の具体例

業務名業務内容
請求書の作成・発行顧客へサービス代金を請求するために、請求書を作成・発行します。サブスクリプションビジネスでは請求先が多いため、煩雑になりがちな業務です。
前受金や売掛金の消込売掛金に計上していた代金を受け取ったり、前受金として受け取っていた代金分のサービス提供が完了したりしたら、各科目の消込を行います。サブスクリプションビジネスでは、代金を前受金や売掛金として受け取ることが多いため、月次で行う消込件数も多くなります。
月次決算1か月単位で行う決算業務です。貸借対照表や損益計算書などを月単位(月次)で作成し、財務状況や経営成績を明確化します。タイムリーな情報が要求されるため、迅速な作業が重要となります。
月次業務の具体例

日次業務や消込作業に遅れが生じると、月次決算のスケジュールに影響を及ぼすことがあります。遅れた場合は、迅速な経営判断や資金繰りの検討といった、月次決算の目的を達成できなくなるというリスクがあるため注意が必要です。

年次業務

決算期に行う業務が「年次業務」です。経理担当者にとっては、年度のなかで最も忙しい時期となります。1年間に行われた事業の成績をとりまとめして、株主をはじめとした利害関係者に財務状況や経営成績などを報告するための書類(決算書類)を作成することが目的となります。具体的には、以下のような業務があります。

年次業務の具体例

業務名業務内容
在庫の実地棚卸帳簿に記録している在庫の数量・金額と実際の在庫数量・金額が合っているかを確認する作業です。差異がある場合は、棚卸差損や棚卸減耗損として費用計上します。
勘定科目の精査勘定科目の内容を精査し、正確に仕訳がされているか確認します。また、内容が未確定な経費・収益を仮払金・仮受金で計上している場合、きちんと精算します。
会計残高の確定決算整理仕訳と呼ばれる処理を行い、期末日の会計残高を確定させます。
決算書の作成貸借対照表や損益計算書、注記表、株主資本等変動計算書などを作成します。
税務申告確定した会計残高や決算書をもとに、法人税や消費税などの納付額を計算します。申告期限までに申告・納付を行います。
年次業務の具体例

課題の洗い出し方法

経理には日次、月次、決算で行う業務がありますが、さまざまな課題が隠れており、効率化の妨げとなっていることがしばしばあります。では、サブスクリプションビジネスの経理業務に潜んでいる課題は、どのようにして見つければいいのでしょうか。ここでは、課題の洗い出し方法の一例を紹介します。

自社の経理業務をリスト化し、課題を特定する

業務の内容を整理しなければ、課題は見つけられません。まずは、自社で行っている経理業務をリスト化します。業務内容が可視化されれば頭の中が整理され、どのような課題があるか見つけやすくなるでしょう。

業務をリスト化できたら、次はリストアップした業務を実際の作業ではどのような手順で行っているかを書き出して、さらに業務内容を細分化します。細かな業務プロセスが明確になったら、どの部分が課題となっているかを特定できるようになります。

どうすれば課題が解決できるか考える

課題が特定できたら、その課題はどのような方法で解決できるかを考えます。解決方法には、スタッフを増やす、無駄な作業を削る、システムや外注などで効率化するなど、業務の内容によってさまざまあるでしょう。

自社の予算との兼ね合いもあるため、課題解決に対するリターンの大きい業務から着手することをおすすめします。

サブスクリプションビジネスの経理における課題

前の項目では、経理における課題を洗い出す方法を紹介しました。会社によって違った課題が見えてくると思われますが、ここでは、サブスクリプションビジネスの経理でよくある課題を紹介していきます。

売上の計上方法が特殊

サブスクリプションビジネスでは、一定期間サービスを提供して代金を受け取ります。その料金体系はさまざまありますが、月額課金や年額課金が一般的です。

小売業など、その場で取引が完了する業種であれば売上の計上仕訳は以下の例1のように簡潔ですが、サブスクリプションビジネスでは、例2-1、2-2のようにサービス提供前に受け取った代金はいったん前受金として計上し、サービスの提供が完了した際に売上計上します。

例1:小売業の売上計上

借方貸方
科目金額科目金額
現金預金10,000売上10,000

例2-1:サブスクリプションビジネスの売上計上(サービス提供前・前受金の計上)

借方貸方
科目金額科目金額
現金預金10,000前受金10,000

例2-2:サブスクリプションビジネスの売上計上(サービス提供後・売上の計上)

借方貸方
科目金額科目金額
前受金10,000売上10,000

上記の例2-1、2-2でわかるように、サブスクリプションビジネスの売上計上は他業種と比べると仕訳がひと手間多く、煩雑になりがちです。また、1年分の代金を前受金としてまとめて受け取った場合は、以下の例3-1、3-2のようにサービス提供の完了ごと(月ごと)に売上計上し、前受金を消込(取り崩し)しなければなりません。

例3-1:サブスクリプションサービスの代金6か月分(10,000円/月)を前もって受け取った場合

借方貸方
科目金額科目金額
現金預金60,000前受金60,000

例3-2:例3-1のサービスにおいて、1か月分のサービス提供が完了した場合

借方貸方
科目金額科目金額
前受金10,000売上10,000

また、以下の表のように、前受金は月ごとに残高がゼロになるまで消込を行い、売上も毎月計上されることになります。

月ごとの売上計上額と前受金残高の推移

経過月数売上計上額前受金残高
110,00050,000
210,00040,000
310,00030,000
410,00020,000
510,00010,000
610,0000

請求書にかかわる業務が煩雑

サブスクリプションビジネスでは、一度顧客と契約を結ぶと継続的に請求を行うこととなります。そのため、他業種と比べると請求書の発行回数が多く、契約内容が変更されていないかを毎回確認する手間が発生するのです。

また、顧客によって月額課金、年額課金と支払サイクルが異なります。さらに、サービスのプランを複数用意している場合や割引キャンペーンを行っている場合や、従量課金制を採用している場合は、請求金額が人によって異なります。そのため、請求書にかかわる業務が煩雑になりがちです。

請求漏れや二重請求が発生すると、会社の信頼を失うことになるため、請求書の作成や発行は慎重に行います。

前受金や売掛金の管理が難しい

請求業務が煩雑になることに伴い、前受金や売掛金の管理も難しくなります。

顧客が多くなる程前受金や売掛金の管理が難しい

顧客が多くなればなるほど、月次で管理する前受金や売掛金のボリュームが増えます。また、顧客によって契約や料金が異なるため、一人ひとりの請求内容などを正確に把握しなければなりません。日次業務として各勘定科目の残高チェックは行いますが、表計算ソフトなどでの管理ではいずれ限界が訪れるでしょう。

消込を忘れたり、漏れたりすると、誤請求や貸し倒れのリスクが高まるほか、資金繰りに影響を与えることとなるでしょう。

迅速な意思決定ができない

顧客の需要を敏感に読み取り、サービスに反映させていくことがサブスクリプションビジネスでは重要です。そのため、迅速な意思決定が業績に直結するともいえます。

ところが、すでに説明したとおり、サブスクリプションビジネスの経理には煩雑な点が多くあります。また、部署間の連携がうまくいかなったり、表計算ソフトでの集計に時間を要したりして、意思決定のために必要な月次決算も遅れ気味になる企業が少なくないと思われます。

そのため、より事業を成長させるためにもサブスクリプションビジネスの経理では、迅速な意思決定ができる環境づくりが重要になると考えられるのです。

経理効率化のためには「システム導入」がメリット大

前項では、サブスクリプションビジネスの経理でよくある課題について紹介しました。これらの課題を解決して効率化するためには、人員の増加や表計算ソフトを作りこんで自動化するなどの案が思い浮かびますが、いずれは限界が訪れます。

そこで、おすすめしたいのが「サブスクリプションビジネスに特化したシステムの導入」です。現在は、さまざまな機能を持ったシステムが登場しており、自社に合った機能を備えたものを選択できるため、導入メリットは大きいといえます。ここでは、サブスクリプションビジネスに特化したシステムの、便利な機能の一例を紹介します。

売上計上をスムーズにできる

サブスクリプションビジネスにおいて売上は、代金を受け取ったタイミングではなく、サービス提供が完了した時点で計上し、この仕訳が定期的に発生します。このように、定期的な売上計上をする仕訳では、収益計上する月がズレたり、計上漏れしたりすることがあります。差異を解消するためには、売上の内容を1件ずつ確認する必要があるため、時間や手間がかかってしまうのです。

システムには、短時間で上記のような差異を発見できるように一覧でチェックできる機能があるため、時間を効率的に使うことができます。

顧客情報とのひもづけで、請求書業務を効率化できる

従来、表計算ソフトなどを使って別々で管理していた顧客情報と請求情報が、システムではひもづけして管理ができます。

そのため、継続課金で発行する請求書を定期的に自動作成してくれる機能もあります。情報のひもづけができているため、どのタイミングで、いくら請求すればよいかを担当者が覚えておく必要がありません。また、表計算ソフトのシートからシートへのコピー&ペーストも不要となるため、ヒューマンミスのリスクも減るでしょう。

消込の自動化できる

銀行から入手した入出金データをインポートすると、システムに登録されている顧客名義・金額を照合し、自動で消込をしてくれます。また、前受金は契約ごとに売上を自動で分割し、消込や集計、推移算出ができます。

同一の顧客に複数の名義を登録できる機能があるシステムでは、振り込みの名義人が毎回異なる顧客にも対応可能です。さらに、未消込のアラート機能が備えられている場合は、請求漏れや支払の督促忘れの防止に役立つでしょう。

素早い集計で迅速な意思決定を実現できる

売上計上から消込まで同一システム内で処理できることから、最新の売上も自動的に集計されるのもシステム導入の大きなメリットです。月次決算を早期に行えるため、迅速な意思決定が実現できます。

月次決算が早期に完了できると、事業の現状をいち早くチェックできます。そのため、業績の目標達成ができなかった場合、どのような要因で成績が振るわなかったかを分析のうえ、サービス内容の見直しが素早くできるようになるでしょう。また、売上や前受金・売掛金の推移も表示できるため、資金繰りの管理も容易になります。

事業の成長度合いを確認するためのMRR(月間経常収益)は、サブスクリプションビジネスにおいて重要な経営判断の指標です。表計算ソフトで集計するとどうしても時間がかかりますが、システムを使えばリアルタイムで把握ができます。

まとめ

この記事では、サブスクリプションビジネスにおける経理の内容や課題の洗い出し方法、よくある課題を紹介しました。

根本的に課題を解決するためにおすすめしたいのが「システムの導入」です。さまざまな機能を持ったものが多くあり、経理をスムーズに効率化できるため、事業の成長に対するメリットも大きいでしょう。経理でお困りの方は、サブスクリプションビジネスに特化したシステムの導入をぜひ検討してみてください。

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