前受金の年度またぎに気づいたらどうする?あせらず申告時に修正しましょう!対処方法を解説

前受金の年度またぎに気づいたらどうする?あせらず申告時に修正しましょう!対処方法を解説

こんにちは。「KIMERA」コンサルティングチームの花田です。

みなさん「サブスクリプション」はご存知でしょうか。通称「サブスク」と呼ばれ、「音楽配信サービス」や「動画配信サービス」が広く普及しています。

このサブスクビジネスを行う上で重要な勘定科目の1つが「前受金」です。今回は前受金の概要を理解し、決算において前受金の年度またぎが発生した場合の修正方法について説明します。

前受金とは?

では、前受金の概要と、前受金が生じる具体的な取引例について説明します。

どのようなときに前受金を計上するのか、そして前受金はいつ売上に計上するのか、そのタイミングを正しく理解しましょう。

(1)前受金の概要

前受金は、商品の引渡しや役務の提供をする際に、対応する代金の一部または全部を事前に受け取った場合に使用する勘定科目です。

通常は、商品の引渡しや役務の提供が完了した時点で、その代金を請求し支払いが行われます。

ところが、特殊な商品を製作する場合や、1年間のシステム利用に関する申込みがあった場合に、商品の製作開始時や、サービスの利用開始前に支払いを受ける場合があります。

企業会計では、売上は商品の引渡しや役務の提供が完了した時点で計上するとされています。

そのため、商品の引渡しや役務の提供前に支払いを受けた金額は前受金に計上し、商品の引渡しや役務の提供が完了した時点で、前受金の取崩しと売上計上を行います。

(2)前受金が生じる具体的な取引例と仕訳方法

次に、サブスクビジネスではおなじみの動画配信サービスを例に、前受金が生じる具体的な取引例と仕訳方法について説明します。

<取引の内容>

① 5月に6月から1年間の動画配信サービスを6,000円(500円×12ヶ月)で契約
② 6月から動画配信を開始するにあたりサーバの設定費用を1,000円で契約
③ 支払いは、5月末に7,000円全額が入金済

<仕訳の方法>

 この取引の場合、「① 5月末に代金全額が入金されたとき」、「② 6月から動画視聴を開始するためのサーバ設定が完了したとき」、「③ 毎月の動画配信サービスを完了(=毎月末)したとき」に、それぞれ以下の仕訳を行います。

仕訳の方法

①5月末に代金全額が入金されたとき

現金 6,000 / 前受金 6,000

②6月から動画視聴を開始するためのサーバ設定が完了したとき

前受金 1,000 / 売上 1,000

③毎月の動画配信サービスを完了(=毎月末)したとき

前受金   500 / 売上   500 ※1年間毎月この仕訳を行います。

②の仕訳は、サーバ設定という役務が完了した時点、③の仕訳は毎月の動画配信サービスの提供という期間の経過に応じて、前受金の取崩しおよび売上計上を行います。

契約全体の売上は7,000円になりますが、6月から3月まで10ヶ月しか経過しておらず、残り2ヶ月が未経過であるため、3月末時点では売上は6,000円となり前受金に1,000円が残っています。

この前受金は、4月と5月の2ヶ月間で取崩し、売上に計上します。

この仕訳のポイントは、売上を計上するタイミングはいつかということです。

この取引では、サーバ設定が完了した時点と、毎月の動画配信サービスの完了時に売上を計上します。

このタイミングがずれると、1年間の経営成績である損益に影響することになるため、しっかり管理することが重要です。

前受金の年度またぎが発生した場合の対処方法

ここまで仕訳の方法について確認してきましたが、決算後に前受金の年度またぎに気づいた場合、つまり前受金の取崩しと売上計上がもれていたことが判明した場合の対処方法について説明します。

また、今後同じことが起こらないようにするために、決算時のチェックポイントについてお伝えします。

(1)前受金の取崩しと売上計上もれの修正方法

1.(2)項の取引をもとに、以下の例で前受金の取崩しと売上計上がもれていた場合の対処方法について説明します。

<取引の内容>

① サーバ設定が完了したにもかかわらず、前受金取崩しと売上計上がもれていた。
② 3月は年度末でバタバタしたため、3月分動画配信サービス対応の前受金取崩しと売上計上がもれていた。

なお、便宜上、サーバ設定の売上原価を300円、動画配信サービスの売上原価を100円とし、消費税は考慮しないこととします。

<申告調整の方法>

上記①、②の売上計上がもれていたことが判明したため、当年度の売上及び利益が過少となっています。

利益が過少になると、利益に対して納める税金も少なくなってしまいます。

この誤った状態を修正し、正しく納税するための手続きを「申告調整」といいます。

申告調整とは、法人税申告書の別表4と別表5において、売上計上もれに対する利益(所得)を修正し、正しく納税する手続きです。

まず、本来あるべき前受金の取崩しと売上計上の仕訳を書いてみましょう。

①前受金 1,000 / 売上高 1,000
売上原価   300 / 仕掛品   300

②前受金   500 / 売上高   500
売上原価   100 / 仕掛品   100

次に、この内容を法人税申告書の別表4と別表5に反映します。

別表4では、売上計上もれに対する利益(所得)の加算1,500円、売上に対する売上原価として利益(所得)の減算400円を反映し、合計利益(所得)は+900円となり、決算時にもれていた利益を修正することができます。

※会計上の利益は、税務上では所得といいます。利益と所得の範囲も異なりますが今回は簡略化しています。

別表5では、売上及び売上原価の相手勘定である前受金と仕掛品の修正を行います。

区分総額処分
留保社外流出
(加算)売上計上もれ1,5001,500
(減算)売上原価認容400400
<別表4>
利益積立金額の計算に関する明細書
区分期首現在高当期の増減期末現在高
前受金
1,500
△1,500
仕掛品
400
△400
<別表5(1)>

(2)決算時のチェックポイント

商品の引渡しや役務の提供が完了した時点で、前受金を取崩し、売上を計上します。

適切に売上を計上するためには、入金後の商品やサービス提供の状況をよく把握しておくことが重要です。

これが把握できていないと、前受金取崩しと売上を計上することができず、利益が過少になります。

月次決算や年度末決算のタイミングで、前受金残高の内容を適切に把握し、常に正しい状態にしておきましょう。

システム導入で前受金管理を効率化

請求書発行業務やこれらの仕訳の入力は、取引先の増加によりその作業量も多くなり、月末から月初にかけて事務作業に追われることがよくあります。この状態が長く続くと手続きもれや誤りが生じる可能性が高くなります。

そんな悩みへの対策として、請求書発行システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

請求書発行システムでは、請求書の発行・送付、入金時の消込みを自動化できます。また、前受金の取崩しや売上計上を自動で行う機能もあります。

各社から多数のシステムが提供されているので、利用目的に応じたシステムを検討してみるとよいでしょう。システムを導入することで、定型的な事務作業を効率化でき、より価値の高い業務に集中することができます。

まとめ

サブスクビジネスにおける重要勘定である前受金について解説しました。

前受金の内容や売上計上の考え方を正しく理解することで、適切な決算を行えます。取引量増加を理由とした売上計上もれが判明した場合は、あせらず申告時に修正しましょう。

事務作業の限界、作業を正確にかつ効率的に進めたいと考える場合は、システム導入をご検討ください。請求書発行から入金管理までの一連の業務、前受金の取崩しや売上計上をシステム上で行えるなど、複雑な作業を効率的に実施することができます。

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