請求書発行を電子化するための税法上の手続きと要件は?PDFで送るのは問題ない?

請求書発行を電子化するための税法上の手続きと要件は?PDFで送るのは問題ない?

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

2005年に制定された「e-文書法」により、行政で利用する書類の電子化が進み、「電子帳簿保存法」の改正で、請求書等を扱う民間企業にとって、より使い勝手が良くなりました。

請求書を電子化するとどういうメリットがあるのかは、電子化を検討している企業がどれくらい請求書の発行に関する工数をかけているか、請求書の発行数量が多いか等にもよりますが、メリットとして考えられていることとして、主に業務の効率性向上と間接コストの削減が挙げられています。

請求書発行を電子化するメリットとは?

経理業務の効率性の向上が期待できる

  • 請求データが確定でき次第、速やかに電子データによる請求書を発行することができる
  • 請求書発行システムの電子データと会計システムとを連携させることで、請求書の発行に伴う売上計上及び債権の発生を間違いなく会計帳簿へ登録することができる
  • 請求書の修正や再発行が速やかに対応できるようになる
  • 請求書の発行までに発生していた複数の押印や承認手続きを省略できる

間接コストの削減が期待できる

  • 請求書の原本を印刷し、封筒に封入し、投函するまでの人件費がかからなくなる
  • 請求書の発行にかかる用紙、印刷代、郵送代が発生しなくなる
  • 請求書の控えを倉庫で保管する必要がなくなる

請求書を受領する側のメリットとは

  • 請求書を速やかに受領することができるようになるため、経理の作業締め日までに請求書が到着しないということがなくなる
    (特に、請求書の受領側が大企業や外資系企業等で、月次決算の早期化を進めている場合には、遅くても月初日から数日以内に請求書が必要という要望が多く、これらに対応できるメリットは大きいでしょう)
  • 電子化された請求書のデータを、メールに添付される場合や、クラウドサーバーでダウンロードできる方式で受領できるため、請求書の受領履歴が明確になり、後で確認しやすくなる。

請求書発行を電子化するためのよくある課題とは?

請求書発行を電子化するための課題には、税法に基づいた手続き、社内体制やシステムの見直し、そして取引先の理解促進に集約されます。

税法に基づいた申請手続き

請求書発行を電子化するための税法上の手続き

電子帳簿保存法において「取引関連書類」に該当する「請求書」は、売上及び売上債権に関する重要なエビデンスです。

この重要な取引に関して、電子帳簿保存法の第10条では「所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます)及び法人税の保存義務者が取引情報(注文書、領収書等に通常記載される事項)を電磁的方式により授受する取引(電子取引)を行った場合には、その取引情報を電磁的記録又はCOM若しくは書面により保存しなければならない」と定めており、電子データで保存する場合と紙媒体で保存する場合について、それぞれ取り決めています。

手続き面では、帳簿以外の書類(この場合「請求書」のこと)を電子データで保存する場合、「国税関係書類の電磁的記録による保存の承認申請書」を、承認を開始する日の三ヶ月前の日までに、税務署へ申請しなければなりません。

この申請には対象とする書類、システムに関する記述があるため、事前にどの書類を電子帳簿保存法の対象とするのか、要件に見合ったシステムが運用されているか・システムを導入していくのか等の検討が必要です。

2022年1月の電子帳簿保存法改正で、この要件は緩和が予定されていますので、導入予定時期時点の電子帳簿保存法を確認するようにしましょう。

税法上、請求書の電子化には要件がある

電子メールにより請求書等のデータ(PDFファイル等)を受領し、あるいはインターネットのホームページからダウンロードした請求書データ等を利用する場合、一般的に、受領者側において当該電子データの訂正や削除が可能と考えられるため、改ざん防止のための仕組みを利用しなければなりません。

通常、電子データ請求書の発行側において、当該請求書に規則第8条第1項第1号のタイムスタンプの付与が行われていれば、受領者側で追加の対応をする必要はありませんが、もしタイムスタンプがない場合は、受領者側でタイムスタンプを付与するか、同項4号に定める事務処理規程に基づき、適切にデータを管理しなければ、電子帳簿保存法上の電子データとして認められません。

なお、多くのクラウドサービスでは、このタイムスタンプ機能を実装しており、請求書を安心して発行することが可能です。

(出典)国税庁 「問2 電子取引とは、どのようなものをいいますか。

情報漏洩の可能性がある

紙媒体の請求書は受領時点で紛失のリスクが考えられるものの、通常は一定期間経過後に、倉庫等で保管することになるため取引情報が漏れることはありません。

ですが電子化された請求書では、社内ネットワークのウィルス感染等で第3者によって容易に情報が抜き取られる可能性があります。

そのため、経理部門の担当者は請求書電子データを自分のPCに保存しないこと、セキュリティの高い社内サーバー等で保存すること、各担当者のPCのウィルス対策がしっかりなされていることが大切です。

請求書を受領する側の手間が増えることがある

電子帳簿保存法の適用を受けていない取引先は、引き続き紙媒体で請求書を保存しなければならないため、受領した側でPDF等の電子データ請求書を印刷する手間がかかります。

会社によっては、統制上の理由で、紙媒体に朱印がなければ請求書として処理されないケースもあります。

請求書をPDFで送るのは問題ない?

電子帳簿保存法において、「電子取引」とは取引情報の授受を電磁的方式により行う取引としています(法2六)。

国税庁のホームページでは、電子取引の具体例として、以下を挙げています。

  • インターネット等による取引
  • 電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。)
  • インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引等(例えばASP「Application Service Provider」事業者を介した取引)

このように、請求書をPDFで送ることに税法上の問題はありません。

(出典) 国税庁

見積書も電子化しよう

電子帳簿保存法での「電子取引」とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引としています(法2六)。

そしてこの取引情報とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項が含まれていますので、「見積書」も対象となっています。

業種・業態にもよりますが、一般的な商取引では、取引に関する事前打ち合わせ、見積書の提示、取引成立時の契約書の締結、請求書の発行、そして領収書の発行等があり、見積書の他にも取引書類を積極的に電子化することは、業務効率化の観点から有用でしょう。

今こそ電子化への切り替え時

来る少子高齢化による労働人口の縮小に向けて、政府におけるペーパーレスの推進や、デジタルソリューションの促進等もあって、請求書の電子化は今後も普及・拡大が見込まれています。

また、2023年には消費税法に基づく「インボイス制度」が予定されているため、経理業務はますます複雑化していくことが予想されますので、積極的に電子化へ切り替えていくことが望まれます。

まとめ

請求書の発行は経理業務の中でも手間がかかる業務のひとつで、出来る限りの合理化・効率化を目指すことが大切です。

多数の請求書を発行する企業では、請求書発行の電子化によるデメリットよりもメリットがはるかに上回っており、多くの企業が対応を急いでいます。

例えば原本の保存が不要になることで、倉庫の保管料を削減できるようになりますし、郵送で請求書を送る必要がなくなるため、切手代や封筒代などの間接コストを削減できます。

なによりも貴重な人的資源をより付加価値の高い業務に集中できることが大きなメリットといえるでしょう。

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