SaaSサービス提供企業におけるリース取引の種類と最新の会計基準を徹底解説

こんにちは。「KIMERA」コンサルティングチームの花田です。

リース取引に関する会計基準は比較的新しい会計基準です。また最近になって国際基準が導入されたタイムリーな会計でもあります。

この記事では、リース取引の種類と実務上の処理方法、最新の会計基準について、分かりやすく説明します。

従来のリース会計

まずリース会計基準の概要について理解しましょう。リース取引とは、貸し手が借り手に対し資産を使用する権利を与え、借り手は使用料を貸し手に支払う取引をいいます。

リース取引には、まとまった資金がなくても固定資産を調達することができるというメリットがあります。また、リース会社による修理サポートや廃棄のアフターサービスの利便性もあって、幅広く活用されてきました。従来はリース取引の多くに賃貸借処理が容認されていました。つまり当期に発生した支払リース料が損益計算書に載るだけで、これから支払うリース料、またリースによって活用している資産の金額については認識していなかったのです。

しかし国際会計基準や米国会計基準では、リース取引を売買取引のように扱い、貸借対照表でもリースを認識する「オンバランス取引」が標準です。日本でも国際社会と足並みをそろえ、リースの全容を把握し開示しようという機運が高まる中、2007年にリース会計基準が公表されました。

*「オンバランス」とは貸借対照表に金額が記載される会計処理のことです。「オフバランス」は貸借対照表に影響しない会計処理と捉えてください。

リース取引会計基準

2007年に企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」が公表されました。まずはこの制度を読み解くために必要な用語の意味をチェックしていきましょう。

ファイナンス・リースとオペレーティング・リース

リース取引は、「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」に分かれます。ファイナンス・リースとは、リース取引でありながら実態はほぼ購入と同様とみなされるリース取引です。オペレーティング・リースは純然たる貸し借りとみなされる取引です。

ファイナンス・リースの条件(1)中途解約できないこと

ファイナンス・リースとみなされるリース取引には条件が2つあります。1つ目はリース契約満了前の中途解約ができないことです。解約可能とされている場合でも、解約時以降のリース料に相当する解約金を借り手側が支払う場合も「解約不能」とみなされます。

ファイナンス・リースの条件(2)フルペイアウト

もうひとつの条件は「フルペイアウト」と言います。次の二つの条件のいずれかを満たす場合が「フルペイアウト」です。

1.リース料総額が物件の購入価額の大半を上回ること

解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、見積現金購入価額の概ね90%以上リース料総額の現在価値≧見積現金購入価額 × 90%

2.上記判定が90%を大きく下回ることが明らかな場合を除き、以下の基準を満たすこと

経済的耐用年数基準(75%基準)
解約不能リース期間≧経済的耐用年数 × 75%

リース料の現在価値とは?

フルペイアウトの1つ目の条件に登場する「リース料総額の現在価値」とは何でしょうか。「現在価値」は「お金は時間と経つと増える」という考え方を大前提にしています。例えば年利1%で100万円を貸した場合、1年後に101万円が返ってくるはずです。この101万円に対して現在の100万円を「現在価値」と言います。

この考え方を応用してリース資産の現在価値を算定してみましょう。今すぐに現金で購入したら200万円するサーバーをリースするとします。

リース料は毎年一回100万円を2回後払いするとし、利率は1%としましょう。

この場合割引現在価値の計算方法は下記の通りとなります。

1年目100万円÷1.01(1+1%)=990,099円
2年目100万円÷1.01÷1.01=980,296円

割引現在価値はこれらを合計して990,099円+980,296円=1,970,395円となります。(小数点以下は四捨五入しています。)

*3年目以降がある場合は1+1%(1.01)で支払年額を3回、4年目は4回除します。

見積現金購入価額とは?

次に見積現金購入価額とはなんでしょうか。

貸し手がそのリース資産をいくらで手に入れたか明らかになっている場合は、その金額と前前述の現在価値を比較して、「フルペイアウト」の判定を下します。例えばリース会社が180万円で買ったサーバーを前述の条件で貸し出しているとしたら、1,970,395円と180万円の90%=1,620,000円を比べます。割引現在価値である1,970,395円のほうが大きいので、このリースは「フルペイアウト」となります。

しかしリース会社が物件の購入価額を明かすことはあまりありません。自分たちがどれだけの利益を得ているかを明かすことになるからです。そこで、購入価額が不明の場合は借り手がそのリース物件を現金で購入した場合の見積金額を用いると定められています。これが「見積現金購入価額」で、同種物件の市場での販売価格などから算定されます。

「フルペイアウト」の2つ目の条件は耐用年数

ここまでの割引現在価値と見積現金購入価額の比較は、利率の算定や見積現金購入価額の算定が現実的に難しい場合が多いため、「経済的耐用年数基準(75%基準)」が定められています。

これは解約不能リース期間が耐用年数の75%以上であればフルペイアウトとなる、というルールです。

例えばリース期間が5年間で解約が実質難しい契約で、耐用年数が3年の設備をリースした場合、5年と5年×75%は3.75年となり、解約不能リース期間のほうが長くなります。この場合、フルペイアウトの2つめの条件を満たしていることになります。

ここまでファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違い、そしてファイナンス・リースの条件を見てきました。ファイナンス・リースはさらに「所有権移転ファイナンス・リース」と「所有権移転外ファイナンス・リース」に分かれます。ここからは「所有権移転」について解説します。

所有権移転

「所有権移転」とはリース契約が満了した際、その物件の所有権が借り手に移ることです。

リース契約が下記の条件のいずれかを満たすとき、「所有権移転」とみなされます

a.契約に所有権移転が明記されている契約

契約書にリース期間完了後は借り手のものになると明記されていれば、「所有権移転ファイナンス・リース」となります。

b.行使が確実に予想される割安購入選択権付のリース

リース期間完了後、相場と比べて著しく安い金額でリース物件を買取る権利が借り手に与えられていて、借り手がリース終了後にリース物件を買い取ると予想される場合、「所有権移転」となります。

c.特別仕様物件のリース

借り手の用途にあわせて特別に作られ、リース期間終了後、その物件をリース会社が他の借り手に貸し出すことができない場合です。

上記以外の場合は「所有権移転外ファイナンス・リース」となります。

ファイナンス・リースは売買処理

ここで冒頭に述べた「リース取引に関する会計基準」を見てみましょう。

この会計基準は「ファイナンス・リース取引については、所有権移転、移転外に関わらず、売買処理を行う。」と定められました。ファイナンス・リース取引は所有権に関わらず、物件を購入したかのような処理が必要となったのです。

ファイナンス・リース契約を結ぶと、リース資産とリース債務が計上されることになります。

この際、リース料総額の現在価値と貸し手の購入金額(不明の場合は「見積現金購入価額」のいずれか低いほうがリース資産・リース債務の計上額となります。

次のような例の場合の原則的な会計処理をご紹介します。

例 

見積現金購入価額360,000円(貸し手の購入価額は不明)
現在価値400,000円
リース期間3年
リース料年一回160,000円の後払い、総額480,000円

この場合はリース取引開始時に、下記の仕訳を起こします。

リース資産リース債務
360,000円360,000円

なお、リース資産は貸借対照表において、原則として有形固定資産、無形固定資産のとは別に、「リース資産」として表示します。またリース債務についてはリース債務については、1年以内に決済されるものは流動負債、1年を超えるものは固定負債に「リース債務」として計上します。

リース料の支払いは負債の返済

上記の例を使ってリース取引においてリース料を支払うときの会計処理を見てみましょう。

支払リース料は元金の返済と考え、元本返済額と利息相当額に区分します。「物件の利息を払う」というとイメージしずらいですが、借入の仕訳を考えてみてください。借入時は「現金/借入金」という仕訳が立ち、資産と負債が計上されます。返済時には、「借入金/現金」、「支払利息/現金」という仕訳が立ちます。

この例ではリース料総額の480,000円と、リース債務の360,000円の差額120,000円が利息相当額となり、リース料支払い時に定額または利息法によって計上されます。毎期定額で支払利息を計上する場合の仕訳例は下記のとおりです。

支払利息40,000円(120,000円÷支払回数3回)現預金160,000円
リース債務120,000円(支払額と利息の差額)

リース資産の減価償却

リース資産はリース期間を耐用年数とし、残存価額を0として減価償却します。今回の場合は360,000円を3年で償却するため、毎月下記の仕訳をします。

減価償却費10,000円減価償却累計額10,000円 

IFRS16号(新リース会計基準)の概要

2019年からIFRS採用企業に強制適用となったリース会計基準には、二つの大きなポイントがあります。1つは、オペレーティング・リースとファイナンス・リースの区切りがなくなり、「モノを使う権利=使用権」はすべてオンバランスする点です。2つ目のポイントはリース期間の考え方の変更です。これまでは実質的にリース契約期間が「リース期間」でしたが、契約期間に延長や解約の可能性を加味した期間を「リース期間」とするよう定められました。

IFRS16号(新リース会計基準)による影響

これまでオペレーティング・リースとして月々のリース料の支払だけで会計処理が済んでいたリースについても、使用権があるとなればオンバランスする必要があります。そのため現在のリース契約・賃貸借契約をすべて見直し、新定義の「リース」に該当するものがないかチェックする必要があります。該当の物件についてはリース資産・リース債務の計上と、支払利息、減価償却費の計上が必要になります。

また、リース期間の考え方の変更に対応するため、契約の内容を精査し、新定義での「リース期間」に基づいて計算を行わなければなりません。

2019年の強制適用は、すでにIFRS会計を採用している企業に対するものです。しかし、日本基準会計を採用している会社にも、この基準が近い将来適用されると言われています。日本では「コンバージェンス」と言って、徐々にIFRSの基準を日本基準に取り入れる方針があるからです。自社の会計基準における判断や対応について、早めに監査法人や顧問会計士と相談してみることをおすすめします。現在、日本基準を採用している企業でも、IFRS16号について知っておくと今後の対応がとりやすくなりますので、ぜひ準備しておきましょう。

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