電子機器の製造販売企業の前受金管理の悩みと改善案

こんにちは。「KIMERA」コンサルティングチームの花田です。

この記事では、取材をさせていただいた企業様の前受金管理に関する悩みと、その改善案を説明いたします。

前受金は、エビデンスとなる契約状況の適切な把握と、会計制度に沿った計上と取り崩しが求められる複雑な取引でありながら、多くの部分を手作業で対応しているケースが見られています。

取材対象企業の前受金管理業務の悩み

こちらの企業では、自社で製造した電子デバイスおよび電子機器を顧客へ販売するとともに、自社で製造した電子機器の重要部品をライセンス契約により顧客へ販売を行っています。

順調な業容拡大により、これらの取引先企業も増えてきているため、顧客との様々な契約と前受金の管理がとても煩雑になりつつあり、その管理業務を合理化することが急務となっています。

製品販売に係る前受金の発生

顧客との通常契約では、製品を引き渡してから一定期日までに入金することを基本としていますが、特別の取引条件にも対応しています。

例えば、継続的にこれらの製品を大量購入する上得意客で、あらかじめ製品の引渡し前に代金を入金してくる時は、一定の割引率を提案しているため、多くの顧客がこの提案に沿って、多額の入金をしてきます。

これにより経理では、製品の引き渡しがある都度、該当する取引に対応する前受金を取り崩し、これを売上高に振り替える作業を都度実施しています。

ライセンス契約に係る前受金の発生

また、こちらの企業では、電子デバイスあるいはその重要部品をライセンス契約で顧客へ継続的に提供し、その対価を収受しています。ライセンス契約の期間は1年間から最長7年間が用意されています。

入金サイクルは通常、ライセンス契約期間中に月締めで1か月分の代金が顧客から入金されますが、長期契約時には割引制度を用意しているため、多くの顧客が数年分を一括で前払いしています。

これにより経理では、システム対応の結果が、契約期間に応じて前受金が取り崩され、売上高に振り替えられているかどうかを目視で確認しています。

現在の請求書発行業務の流れと課題

このような多岐に渡る契約がある状況で、前受金管理業務に関わる経理担当者には次の悩みがありました。

まず、契約に基づいて毎月入金をしてくる顧客以外の顧客、新規の顧客で最初の数か月間は事務手続きの都合もあり、1ヶ月あたり数百件程度の請求書を発行しています。契約件数の増加とともに請求書の発行数量も増えている状況です。

また、この請求書の発行にはおよそ3営業日程かかっています。

これは、契約が月の途中で変更となっていることが請求の締めに近い日に判明すること、前回以前の入金に前受分がある場合には、今回の請求からその分を差し引く調整を手作業で実施しなければならないこと等が主な要因となっています。

前受金を管理する機能を持ったシステムがない

こちらの企業では、販売管理から請求書の発行および入金の管理を、自社の基幹システムで処理しています。財務会計向けでは、会計用のシステムと他の業務ソフトウェアを利用しています。

こちらの企業が利用している基幹システムの設計は、顧客の基本的な契約管理、販売状況、代金回収の有無を想定しているため、販売前の段階で代金を受け取った場合は、「入金過多エラー」として処理されます。これを前受金として振り返るためのデータ補正が必要です。

また、財務会計のシステムは自社の基幹システムと部分的な連携はしているものの、前受金の処理機能を持ち合わせておらず、基幹システムのエラー情報を受け取った会計システム側でも個別に補正対応が必要になっています。

新収益認識基準における売上計上金額の違い

新収益認識基準の適用を受ける企業(現在は上場企業や大企業等以外は任意適用となっています)では、売上の認識および売上額の計上に関して、「顧客に提供する財又はサービス」が「本人取引」なのか「代理人取引」なのかに大別し、それぞれを識別する必要があります。

「本人取引に該当する」とは、顧客への商品やサービスを「自ら」提供する履行義務がある場合のことです。つまり、顧客と契約を締結してから商品やサービスを提供するまでにおいて、当該商品等を実質的に支配しており、取引価格を自由に設定できる立場にある状況です。

「本人取引」における会計処理は、取引総額をもって売上高を計上します。

一方「代理人取引」とは、顧客が商品やサービスの提供を受けることができるように手配する場合のことで、その手配をした企業において在庫リスクを負っていないときや、価格の裁量権を有していない状況です。

「代理人取引」における会計処理は、通常、手数料相当の金額を売上高とします。受け取った対価の総額から、他の当事者(委託者等)に支払った額を差し引いた純額をもって収益を計上することもあります。

今回の企業では、自社で製造した電子機器を顧客へ直接販売していること、在庫責任を有していること、自社で顧客に対する価格の裁量権を有していること等の要件を充足していますので、「本人取引」に該当しています。

悩みを解決!改善案

前受金の収受後は、商品の引渡しやサービス提供に応じて、あるいは契約期間に応じて、これを取り崩し、収益に振替なければなりません。

また、前受金が1年を超えるかどうかで財務諸表での負債の区分(短期・長期)が変わりますので残存期間に留意しなければなりません。

(1)前受金管理を対応しやすい外部システムを利用する

こちらの企業では、基幹システムに販売管理・請求書発行・入金管理機能がありますので、これらの機能が持つ情報を別のシステム(クラウドシステム)とAPI接続することが検討されます。

この方法のメリットとして、既存のシステム環境を変更せずに、前受金の管理のみを強化することが可能であること、そしてクラウドサービスの必要な機能だけを利用できることでコストをセーブできること、必要なアップデートの手間がかからないことが挙げられます。

(2)既存のシステムに前受金管理機能を追加する

事業モデル上、前受金が頻繁に発生する状況であるならば、前受金を適切に管理できる仕組みを個別に開発し、既存のシステムに実装させることが検討できるでしょう。

現在の会計システムでは、入金処理時に債権と照合し、債権額を上回っている場合は消込エラーとなりますが、契約情報に基づいて、売掛金仮勘定と前受金勘定を登録しておくことで、この消込エラーを回避することが可能です。

この事前登録の仕組みを運用するためには、契約情報が営業担当者によって定期的に確定されているよう、ルーティン化することが必要です。

なお、システムの追加開発には少なからず一定の工数と開発コストが発生するため、バックオフィス部門の予算が少ない場合には開発ができない可能性があります。

(3)最新の契約情報へ常にアップデートする仕組みの構築

ライセンス契約による長期間に渡る対価や、製品総数を分割で納入する場合等では、顧客へいつ、どのようなサービスを、どれくらい提供したのかが、すぐに契約情報へ反映される仕組みの構築をしておく必要があります。

営業担当者の入力時期が不意に遅れることで、契約情報全体のアップデートに支障がでる場合もありますので、バッチ処理による一括更新よりも、リアルタイム更新型の機能を実装すべきでしょう。

まとめ

利便性が高く・拡張性のある適切なシステムを導入することで、煩雑な前受金の認識、債権の発生に伴う月々の前受金取崩しと売上の計上をほぼ自動的に対応でき、前受金の残高管理も容易できるようになるでしょう。

数百件の前受管理工数であれば、まずは早期に導入しやすく、ランニングコストが高くないクラウドサービスを利用することで、業務の合理化と即時性がどれくらい達成できるかを確認してみることをお勧めします。

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