保守契約の特徴と収益認識基準導入後の複雑な会計処理の注意点とは

保守契約の特徴と収益認識基準導入後の会計処理の注意点

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

ハードウェア機器を購入した場合、同時に製品の保守契約を納入業者と締結するのが一般的です。パソコンやコピー機、プリンターは故障が発生しやすく、しかも一度破損すると業務への影響も甚大です。しかし、保守契約を結んでいれば不具合が発生した場合も迅速に復旧がなされ、業務への悪影響を最小限にとどめられます。

もっとも、保守契約は製品の販売契約に比べると複雑な契約形式をとります。会計処理上も収益認識基準との関係で売上計上のタイミングを慎重に判断しなければなりません。

本稿では、保守契約について基礎的な知識を確認した上で収益認識基準を適用した場合どのような点に注意して売上計上を行うか解説します。

保守契約の種類

製品の保守契約には、オンサイト保守とセンドバック保守があります。

オンサイト保守とは、製品が故障した場合に利用者からメーカーへ連絡して作業員が道具を持って利用者のもとへ出向き、その場で修理・交換を行うサービスです。オンサイト保守のメリットは、利用者の目の前で修理が行われることで、どのような修理が行われているのか、同様の故障が再発したときにどう対応するべきか、直接に確認できることです。

センドバック保守とは、製品が故障した場合にメーカーや販売店に送ることで、無償で修理してもらったり、代替品と交換して返送してもらえるサービスです。センドバック保守のメリットは、利用者の手間を省けることです。利用者は故障した製品を郵送するだけで、メーカーから代替品を送ってもらえたり、修理してもらえます。

なお、センドバック保守には先出し方式と、後出し方式があります。先出し方式の場合、まずメーカーが代替品を郵送して、利用者が故障した製品を送り返します。後出し方式の場合、まず利用者が故障した製品を郵送して、メーカーが修理して送り返します。

履行義務の識別

収益認識基準導入後の保守契約の会計処理

次に取り上げるのは、収益認識基準に照らすと保守契約の売上計上はどのようなタイミングで行うべきかということです。収益認識基準導入後、従来の業務内容を大きく変えなければならない企業も少なくありません。例えば、以前であれば利用者に商品を発送した時点で売上を計上すれば良いという出荷基準ですんでいました。しかし、収益認識基準導入後は、5つのステップを踏んで売上の計上を行わなければならないのです。以下では5つのステップを保守契約に適用した場合について考察します。

ステップ①は「契約の識別」です。同一のクライアントとの契約であれば、契約が商品販売と保守、カスタマイズなどに分かれていたとしても、単一の契約として判断します。

ステップ②は「履行義務の識別」です。契約と履行義務を区別して、製品販売という履行義務と、保守契約という履行義務は別のものとされます。

ステップ③は「取引価格の算定」です。1つにまとめた契約全体でクライアントに対する履行義務を全て果たしたならば、収益がいくらになるのかを事前に見積もらなければなりません。製品販売から保守契約の履行までをトータルで見積もる必要があるのです。

ステップ④は「取引価格の配分」です。見積もった取引価格を履行義務ごとに配分します。保守契約の場合、保守料をトータルで把握したうえで契約期間ごとに配分するのです。

ステップ⑤は「収益の認識」です。実際に履行義務が正常に履行されたかを判断します。保守契約であれば適切に修理・修繕や代替品の提供がなされたのかを判断して、最終的な売上計上を行います。

まとめ

ここまで述べたように製品の販売に伴う保守契約は、収益認識基準を用いると売り上げの計上が複雑になってしまいます。収益を見積もって履行義務ごとに判断したり、実際に履行義務がなされたかどうかも会計担当者が判断しなければならないのです。これまで以上に現場との連携が会計担当者に求められます。本稿が収益認識基準導入後の適切な会計処理の一助になれば幸いです。

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