ソフトウェア開発企業の収益認識のタイミングと前受金管理のポイント

ソフトウェア開発企業の収益認識と前受金管理のポイント

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

前受金は、受注を受け納品が完了する前や、サービスの提供前に受け取る代金のことです。
今回は、ソフトウェア開発業における「長期に渡るソフトウェア開発」や「年間保守」の前受金、収益(売上)振替のタイミングについてご説明します。

ソフトウェア開発における売上原価とは

売上原価とは、売り上げた商品の仕入や製造にかかった費用で、商品やサービスが売れた場合に計上される原価です。
商品を販売する場合は、その商品の仕入額が売上原価になります。ソフトウェア開発業は、直接開発に携わったシステムエンジニア(SE)やプログラマー(PG)の人件費が売上原価になります。
ソフトウェア開発の工程は「要件定義」→「設計」→「開発」→「テスト」→「納品(動作確認)」→「保守」の6つの工程を順に進めなければなりません。この一連の作業がSE、PGの仕事であり、この作業に関わるすべての人件費が売上原価になります。
関わる人数や費やす時間が多いほど、売上原価は高くなります。

長期プロジェクトの売上原価と資金繰りの関係

工期が数カ月から1年以上ある長期プロジェクトは費やす時間が長い分、売上原価が高くなります。
売上原価は人件費、つまりSEやPGの給与です。給与は毎月従業員に支給しなければなりませんので、製品が完成して代金を受領するまでの間は、売上原価を前払いをすることになります。このような状態が続けば資金繰りが悪化し、経営危機になる恐れもあるでしょう。
前もって顧客から代金を預かることで資金繰りが順調に運び、資金不足を防げます。

前受金の収益(売上)振替計上のタイミング

収益(売上)計上は、納品後やサービスの提供の完了時ですが、ソフトウェア開発業では工期の違いによって2種類の収益計上のタイミングがあります。
工期の短いプロジェクトはシステムの納品が完了した時点で前受金を売上に振替計上します。工期の長いプロジェクトは2種類の進行基準に沿って処理を行います。1つはソフトウェア開発の進捗ベースによって振替する「工事進行基準」。もう1つは製品やサービスが顧客側に移転し、顧客が便益を得たタイミングで振替する「収益認識基準」です。
2021年4月1日より「工事進行基準」は廃止になり、「収益認識基準」に統一されます。この新基準は、全上場企業約3600社は適用対象となりますが、中小企業においては従来通りの処理も可能です。

工期の長いプロジェクトにおける収益計上タイミング

月額保守の前受金、収益(売上)振替計上のタイミング

システムを無事導入した後は、開発業務から運用保守業務へ移行します。
データバックアップやシステム稼働の確認、障害発生時のサポートなどを保守サービス料として請求します。毎月のサービス提供完了時に代金の支払いを受ける場合はその都度売上計上をしますが、1年間から5年間分のサービス料を前もって顧客から預かることもあります。サービス提供前に預かる代金なので、この場合も「前受金」として処理します。
収益(売上)計上のタイミングは、毎月締日にサービス提供が完了した時です。顧客に検収報告をした上で振替計上をします。
1年以上先に収益(売上)計上をする前受金は「長期前受金」として処理しますので、注意が必要です。

まとめ

今回はソフトウェア開発業の前受金について述べてきました。ソフトウェア開発業では、前受金を収益(売上)に振替計上するタイミングがプロジェクトの工期やサービス提供の違いによって異なることも多いです。
前受金は、一般的に言う「内金」です。納品前やサービスの提供の前に顧客から預かる代金なので、詳細の管理が必須です。
ボリュームが増えてくるとヒューマンエラーが起こりやすい科目なので、毎月月末には振替漏れがないかチェックルーティンをしっかりと確立しておきましょう。

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