サブスクリプションビジネスでの繰延収益の発生要因と経営観点的メリットとは?

サブスクリプションビジネスでの繰延収益の発生要因と経営観点的メリットとは?

「繰延収益」とは会計上の考え方で、一般的に役務提供が完了していないにもかかわらず代金を前受で頂いた場合に該当します。つまり、受け取った代金のうち当期の役務提供サービスに該当しない分については、翌期以降の売上になるという仕組みです。

この記事ではサブスクリプションビジネスを行う上での繰延収益の発生要因と経営観点的メリットについて詳しく解説していきます。

繰延収益とは?

このようにして繰り延べられた将来の収益は、財務諸表では「前受収益」とも呼ばれます。 

繰延収益は多種多様な事業で発生します。数か月先までの分でも数年先までの分でも会計の定義上は「繰延収益」に該当しますが、通常は「長期にわたる契約に基づいた前受代金」に起因しており、たとえば長期にわたる建設工事の場合では工事の発注者から複数回に渡って代金が支払われ、この代金を「工事進行基準」による場合に収益と前受収益に区分します。「工事完成基準」では完成引き渡し時まですべての代金を繰延収益とします。

サブスクリプションビジネスでは3か月分の前払い、1年間前払い、3年間前払いなど多様な期間の長期契約が考えられます。

なお、2021年の「新収益認識基準(主に上場企業や大企業で適用)」が適用されると、「繰延収益」の概念がこれまでの「役務提供が完了していない(企業会計原則)」ではなく、「履行義務が充足していない」に変わります。新収益認識基準における収益の認識手順はステップ1「契約の識別」からステップ5「収益の認識」まであり、「履行義務が充足しているかどうか」はステップ5にて実施されます。

このため、この新しい基準に基づいて適切に収益と繰延収益とを区分するための根拠として、顧客との契約内容がより重要になります。

サブスクリプションビジネスの繰延収益の発生要因と収益計算方法

サブスクリプションビジネスにおける収益(売上)計上の考え方は、契約に基づいた課金体系にもとづいています。一般顧客に向けたサブスクリプションビジネスの多くは月額課金となっており、一般顧客は毎月代金を支払い、サービス提供事業者は毎月収益を認識します。

ですが、サブスクリプションビジネスの提供事業者が一般顧客に向けてトータルの支払いが安くなる「年払いプラン」を用意している場合では、顧客から受け取った代金の大部分が役務の提供を完了していない(履行義務を充足していない)ことになります。

あるいは、ビジネスの提供事業者が顧客への割引ではなく、一定期間を無料で利用できる「トライアル期間」を用意する場合もあります。

このような場合は、ビジネスの提供事業者が認識すべき収益と繰延収益の計算が複雑になります。

たとえば月額課金額が1,000円の場合に、年払いプランでは10%割引で12,000円が10,800円になると仮定します。収益の認識は月額毎に均等按分して認識することになるため、10,800円を12か月で割った900円が月額の収益になります。

同様に、一定期間を無料で利用できるトライアル期間が1か月間ある場合の「年払いプラン」が10,800円と仮定します。このトライアル期間にもサービスを提供していますのでその期間を含めて10,800円を12か月で割った900円が月額の収益になります。

経営観点から見た繰延収益のメリット

(1)顧客が長期的に契約し続けることを推進

サブスクリプションビジネスは顧客との契約にもとづいて、長期にわたって収益を獲得することを重視している点が、他のビジネスモデルと異なる大きな特徴です。そのため顧客をいかにしてつなぎとめるかが極めて重要であり、料金プランにおいて長期契約の場合に割引を提供するなどに表されています。

実際にサブスクリプションビジネスで最大手の1社であるAdobeが、日本で展開しているサービス契約プランの1つで「コンプリートプラン」を例にすると、月々契約プランの8,980円/月に比べて、年間契約時の月々払いは5,680円/月(およそ36.7%減)、または年間プランの一括払いが65,760円/年(月額あたりでおよそ38.9%減)になり、大幅な割引を顧客に提供しています。

Adobeの財務諸表から繰延収益(Deferred revenue)の金額を確認すると、直近の2020年8月28日時点で$3,317 million(1ドル100円で換算するとおよそ3,317億円)に達しています。これはAdobe社の負債総額のおよそ31%、負債・資本総額の15%を占める規模で、この繰延収益が翌期以降の収益として予定されています。

(2)資金繰りや予算などの影響

また、繰延収益は顧客から受け取った代金のうち会計処理により区分されたもので、手元には相応の資金が残されています。企業経営の観点からは、キャッシュフローの大幅な改善効果、設備投資資金への充当、翌期あるいはローリング予算の作成が容易になるなど、さまざまなメリットがあります。

与信管理の観点では、顧客より代金を前受で頂いているので貸倒の心配がなくなることもメリットになるでしょう。

出典

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