上場企業の会計監査で売掛金の残高確認を効率的に行う方法とは?

上場企業の会計監査で売掛金の残高確認を効率的に行う方法

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

日本には約400万以上の企業があり、そのうちの約3,600社が株式市場に上場しています。世間でも多くの有名企業が上場企業として知られていますが、その割合は約0.09%と非常に狭き門です。この、「株式市場に上場する」とは、一定の基準をクリアし、証券取引所で株式が売買できるようになった状態を指します。

今回はこのような上場企業において行われる会計監査の一手続きである、売掛金の残高確認という業務について、サブスクリプションビジネスを展開する企業についても触れながら説明していきたいと思います。

上場企業と会計監査とはどのような関係なのか?

上場企業で行われる会計監査で最も重要な役割を果たすのは、公認会計士によって行われる財務諸表監査です。

株式上場に際しては証券取引所の規則により、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に準ずる監査(投資家等に有用な情報を提供することを目的とした財務諸表等を対象とした監査)を求められております。そして各証券取引所では、財務諸表の信頼性向上のために新規上場申請会社に対して、監査法人(公認会計士によって組織された法人)などによる監査を義務付けています。

つまり、上場企業は上場する準備段階から会計監査、公認会計士によって行われる財務諸表監査を義務付けられ、受けてきているのです。

売掛金の残高確認とはなにか?

ここでいう売掛金の残高確認とは、監査人(公認会計士)が行う監査手続における“確認”を指します。“確認”については以下の定義がなされています。

確認とは、財務諸表項目に関連する情報について、監査人が会社の取引先等の第三者に対して文書により問い合わせ、その回答を直接入手し、評価する監査手続をいう。

同時に、以下のような記述もされております。

監査人は、売掛金が重要な財務諸表項目であり…(中略)…通常、売掛金について確認を実施する。

監査基準委員会報告書第19号(中間報告) 確認 平成13年7月3日(平成14年11月18日改正) 日本公認会計士協会

このことからも、売掛金の残高確認は会計監査においてほぼ確実に行われる監査手続といえます。

売掛金の残高確認は何をするのか?

監査法人の残高確認で担当者の実際の作業の流れを確認してみましょう。

監査法人の残高確認作業の流れ

(1)サンプル抽出作業

  • 発送先別に名寄せした売掛金明細を監査法人に提示すると、監査法人の担当者がサンプルを抽出し、抽出結果の報告を受けます。

(2)残高確認書の作成

  • 監査法人から、残高確認書のデータひな型を渡されます。
  • このデータひな型に、抽出先の宛名、住所、勘定科目、金額を担当者が記載します。

(3)封筒、切手の準備

  • 用意した残高確認書と、切手を貼った返信用封筒を封綴じせずに監査法人担当者に渡します。

(4)残高確認書の回収

  • 残高確認書は監査法人に直接届きます。そして監査法人から企業の担当者に残高確認書のコピーがPDFで送られてきます。
  • 上記の残高確認書のコピーに基づいて、監査法人から企業の担当者に違算調査が求められます。

(5)回答違算の監査法人への報告

  • 企業の残高と残高確認書の残高にズレ(違算)がある場合、監査法人担当者に違算の理由を質問されます
  • 違算が合理的な理由によるものか、理由だけでなく、証票の提示を求められることがあります。

上場企業では、この作業を年度決算作業中に求められます。

1年で一番忙しい時期に上記の作業を行うためには、効率的に行う事前準備が必要です。

売掛金の残高確認を効率的に行う2つのポイント

売掛金の残高確認を効率的に行うには、残高確認を行うことを前提とした売掛金管理体制を整えておくことが大事です。

通常、実務上は同じ取引先企業であっても、部署や担当(サブスクリプションビジネスでは契約内容ごと)などに基づいて細かく得意先コードやマスター設定がなされているため、それらの得意先コードが“企業”単位で集約(名寄せと言われる)できるようにおく必要があります。

そして、得意先の回答と自社の残高との違算(差異)を分析できるように、売上計上から残高・回収までのスケジュール全体像(サブスクリプションビジネスにおいては契約期間や入金のタイミングなど)を得意先別に正確に情報収集できるようにしておく必要があります。その正確な情報を入手できなければ違算(差異)理由を分析(推理)、得意先への問い合わせなどもできなくなります。

上記2つの名寄せと違算(差異)分析をいかに上手く乗り切れるかがポイントでしょう。

まとめ

売掛金の残高確認という業務は昔からある監査手続ではありますので、手続きは完全に固定化されていることが多いでしょう。しかしサブスクリプションビジネスは従来のモノやサービスを提供するビジネスとは形態が異なるため、その特色を十分に理解したうえで対応する必要があります。

そして、残高確認という業務を効率的に行うことができるようになると、売上及び売掛金の管理に関しては隙のない体制が整えられていることを意味します。そのような体制が整えば、ビジネスにおいて損をするリスクを最小限に抑えることでき、かつ外部からの信用を獲得することにもつながるというメリットを享受することができるでしょう。

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