
こんにちは。「KIMERA」コンサルティングチームの花田です。
取引先の資金繰りが悪化して売掛金の回収が難しくなった場合、企業は適切に会計処理を行わなければなりません。サブスクリプションビジネスの場合、顧客との関係は長期的なものとなり、売掛金管理は特に重要です。また、回収不能のリスクも起きがちなところです。万一そのような事態となってしまった場合、経理担当者としてどのような会計処理を行うべきかについて、本稿では以下で説明します。
売掛金が回収不能の場合の仕訳
顧客が金銭的に行き詰まってしまい売掛金を回収できる見込みがほとんどない場合「貸倒損失」として処理します。このときに損金算入できる類型は3つあります。

第一に「法律上の貸倒れ」です。具体的には、以下の5項目があげられます。
- 債権者集会の協議決定がされたとき
- 更生計画認可の決定がされたとき
- 再生計画認可の決定がされたとき
- 特別清算に伴う協定認可の決定がされたとき
- 債務超過により弁済を欠くことから債務免除の通知がなされたとき
これらのケースに該当すると、貸倒損失として会計処理でき、免除額及び切捨額が貸倒損失となります。法律上、合法的に弁済が免除されるところでもあり、債権者にとっては厳しい面もあります。
第二に「事実上の貸倒れ」です。具体的には、債務者の経済状態から考えて売掛金を回収できる見込みが事実上消滅したときがあげられます。このケースに該当すると、貸倒損失として会計処理でき、売掛金全額が貸倒損失となります。
第三に「形式上の貸倒れ」です。具体的には、以下の2項目があげられます。
- 取引が停止してから1年以上が経過しているとき
- 債権額が回収に要する費用を下回っているとき
これらのケースに該当すると、貸倒損失として会計処理でき、備忘価格として1円を帳簿上に残したうえで残額全てが貸倒損失となります。
売掛金が回収困難な場合の仕訳
売掛金の回収に際して、貸倒れまでには至っていないものの、相手方と連絡が取れないなど実際上は回収が困難と見込まれる場合、「貸倒引当金」として会計処理を行います。この場合、貸し倒れになるリスクに応じて「個別評価」又は「一括評価」を用いて帳簿に計上します。両者の使い分けですが、前者については取引先の経済状態が悪く売掛金が回収不能となってしまう可能性が高い場合に用います。この場合に貸倒引当金として計上できる金額は売掛金の50%~100%の範囲であり、貸し倒れリスクに応じた割合となります。後者については売掛金が回収不能となってしまう可能性が低い場合に用います。そして、このようなケースにおいて貸倒引当金に計上できる金額は「実績基準額」または「法定基準額」を用いて算出します。両者の使い分けとして、基本的には「実績基準額」を用いるのが原則ですが、期末での資本金が1億円以下など一定の要件を満たす企業に対しては「法定基準額」を用いることもできます。
まとめ
売掛金の回収不能という事態が生じた場合、「法律上の貸倒れ」「事実上の貸倒れ」「形式上の貸倒れ」のいずれに該当するか判断したうえで、貸倒損失の計上を行います。これに対して、売掛金の回収が困難という状態が生じた場合は貸倒引当金の計上を行います。仕訳においては、取引先の経済状態を判断したうえで正確に処理することが求められます。また、金額の計上に際しては複雑な計算式によることもあり、深い理解が求められるところです。経理担当の方々におかれては知識のアップデートに努め、適切かつ迅速な会計処理を行いたいものです。本稿がその一助となれば幸いです。
適切な会計処理を行うために本稿が一助となれば幸いです。
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