前受金・前受収益の違いと実務上の留意点

前受金・前受収益の違いと実務上の留意点

経理業務において、仕訳のミスは可能な限り避けたいものですが、顧客の増加等により、売上計上のタイミングや各勘定科目の管理も煩雑になりがちです。

この記事では、少しでも業務の負担減につながるよう、特にサブスクリプションビジネスやSaaSで利用されることの多い前受金と前受収益の概要と双方の科目の違いを説明したうえ、実務上の留意点も紹介します。

前受金とは

取引において、商品・サービス等の代金の一部または全部について、役務の提供前(先に)受け取った場合、「前受金」勘定で仕訳を行います。計上時は負債科目として処理し(例1)、商品・サービスの提供が完了した時点で売上等の収益科目に振替します(例2)。

例1:当社で提供している商品の販売契約をX社と締結し、代金1,000,000円を受け取った。なお納品は後日行う。

借方貸方
科目金額科目金額
現金預金1,000,000前受金1,000,000

例2:例1の契約について商品を納品した。

借方貸方
科目金額科目金額
前受金1,000,000売上1,000,000

前受収益とは

前受収益は、企業会計原則注解・注5において、以下のように定義されています。

前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。

企業会計原則注解・注5

前受収益は、継続的に役務(サービス)を提供している場合において、翌期以降の分として計上するべき収益を当期の損益計算から取り除く(繰延する)ために行う経過勘定であり、負債科目です。

例3:x1年12月1日、当社で提供している240,000円(年払い)のサブスクリプションサービスの契約をY社と行い、代金を受け取った。なお、当期の会計期間はx1年4月1日からx2年3月31日である。

借方貸方
科目金額科目金額
現金預金240,000売上 240,000

例4:x2年3月31日、決算を迎えたため、例3の契約について翌期分の収益の繰延処理を行う。

借方貸方
科目金額科目金額
売上160,000前受収益 160,000

※160,000円=240,000円×8か月(翌4月~11月分)÷12か月
※4か月分(12月~3月分)は当期の収益となる。

例5:x2年4月1日、前期末に計上した前受収益の期首振替処理を行う。

借方貸方
科目金額科目金額
前受収益160,000売上 160,000

※前期末(x2年3月31日)に繰延処理した売上を収益計上。

前受金と前受収益の違い

前受金は、商品やサービス等の役務提供を行う前に代金を受け取った場合に負債科目として計上し、役務を提供した時点で収益を認識します。対して、前受収益は、代金を受け取っており、当期の収益として計上している(継続して役務提供を行っている)ものの、次期以降の収益として認識すべき部分を繰延する処理になります。したがって、前受収益は期間損益計算を行い、スムーズな決算手続きを実施するために、正確に算定する必要があります。

前受金と前受収益はどちらも負債科目ですが、前者は、期中の日常的な取引で発生します。後者は、基本的に決算時点においてのみ仕訳が行われます(決算整理仕訳)。

さらに、前受収益は翌期首に振替処理を行う必要があります。忘れた場合は、収益の期間配分が正常に行われないため、注意が必要です。

前受金と前受収益の違いをまとめると下記の表となります。

実務上の留意点

1. 仮受金との混同

前受金や前受収益と混同されがちな勘定科目に、「仮受金」があります。仮受金は、入金の理由が不明で、計上すべき勘定科目が分からない場合や、入金額自体が未確定である場合に使用します。また、仮受金勘定は一時的に発生する勘定科目ですので、残高を残して決算期を迎えた場合は内容を確認のうえ、しかるべき勘定科目へ振り替える必要があります。

2. 売上計上している前受金はないか

役務提供を行っていないにも関わらず、売上計上をした前受金がないかチェックをする必要があります。見逃しがあった場合は当期の収益が過大に計上されるため、法人税や所得税の納税額が増加します。

3. 貸借対照表での表示

企業会計原則注解・注16によると、前受金、前受収益には正常営業循環基準が適用されるため、原則、貸借対照表上では流動負債として表示します。


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