サブスクリプションビジネスとチャーン(Churn)

サブスクリプションビジネスとチャーン(Churn)

一般にサブスクリプションビジネスは、企業と顧客がメンバーシップ(会員制)の関係にあり、企業は顧客と長期的な関係の維持構築を目的として手頃な価格でサービスを提供し、顧客は必要なサービスを受ける分だけ月単位や年間契約で料金を支払う仕組みです。

チャーンとは「(会員制サービスの)解約」のことです。チャーン率(解約率)は業界やサービス内容によって大きく異なりますが、1か月間で3~10%程度が平均とされているようです。

Salesforceの「SaaS創業者向けスタートアップガイド」によれば、中小規模企業向けのビジネスでは月間チャーン率を2%以下に、大企業向けのビジネスでは月間収益ベースで1%以下の解約率を目指す必要がある、と説明しています。

参入障壁が低い業界では大きな差別化は難しく、目移りしやすい顧客をいかにして維持し続けるか、言い換えればチャーン(解約)を抑制することが重要な経営指標になります。

チャーン率とは

チャーン率は現在の顧客が解約したことによる解約率で、計算式では分子に解約数、分母に顧客総数で表されます。

カスタマーチャーンレート(顧客チャーン率) = 解約数 ÷ 顧客総数

レベニューチャーンレート(収益チャーン率) = 解約顧客の想定収益 ÷ 解約前の想定収益

なお、チャーン率の計算にあたり以下のような状況ではチャーン率が大きく変動する場合がありますので留意が必要です。

  • カスタマーチャーンレートの計算
  • 既存顧客数に対する新規顧客数と解約数とのバランス
    (例えば1000社の既存顧客に対して100社が契約し、うち3社が解約した場合と2000社の既存顧客に対して100社が契約し、うち3社が解約した場合)
  • 月単位や季節ごとに契約、解約が大きく変動する場合
    (例えば新入社員向けキャンペーン時期)
  • レベニューチャーンレートの計算
  • アップセル部分(既存顧客単価の増加分)が算入すると、実態よりもチャーン率が改善されているように見えます。

チャーン率と損益計算

Salesforce社が「SaaS創業者向けスタートアップガイド」で説明している損益計算書を見てみましょう。

顧客の継続を前提とした「年間経常利益(解約数を考慮しない場合の総収益)」から「チャーン(解約数に応じた逸失収益分)」を差引いて実際の収益(ARR)を表示し、そこから売上原価などのコストを差引くことで「純利益」を求めています。

この表示により、チャーンがどれくらい損益に影響を与えたかがよく分かります。チャーンが少なければ当期の純利益が改善されるとともに、翌期の年間経常利益の維持につながります。

出典:Salesforce 「SaaS創業者向けスタートアップガイド」

チャーン率の実例:Netflixの場合

アナリストの推計値によるNetflixのチャーン率は、2018年度は2%台でしたが2019年の価格変更、および競合(ディズニー・プラス)の出現によりチャーン率が一時的に3.5%前後に悪化しました。しかし2020年は巣ごもり需要等の外的要因を含め再びチャーン率が改善しています。

Netflixの競合他社を比較した資料では、NetflixやAmazonの過去12か月間の解約率は3〜5%前後、Huluは7〜10%と推察されています。

ただし、顧客が望む特定の番組が終了した場合(例えば大人気コンテンツの「ゲーム・オブ・スローンズ」の終了等)、解約率は9%台になるだろうと予測されています。そのため、Netflixは自社でもコンテンツを制作して顧客に新しいドラマや映画を提供しています。

最近では2019年12月に配信された「ウィッチャー(The Witcher)」が、これまでで最も見られたTVシリーズになった(Netflix)コンテンツとされています。(なお、Netflixは従来の指標「1つの番組の70%を視聴した人」から、「選択した番組を少なくとも2分間視聴した人」へ変更しています)。

チャーン率の改善方法

チャーン率を改善するためには、サービス品質の継続的な改良の他、顧客が解約に至った理由を念入りに調べ、その原因別に以下のような対策を講じることが望まれます。

  • B2Bでサービスの要求水準が高い場合の解約に対しては、新しい機能の追加や機能拡張による新しいプラン、顧客に合わせたカスタマイズプラン(アップセル・プラン)が考えられます。
  • B2Cで顧客がサービスを使い切れていない場合の解約では、より簡易な機能でリーズナブルなプラン(ダウンセル・プラン)の提示が有効です。
  • 顧客が提供しているサービスをうまく使いこなすためのフォローアップ体制、カスタマーサービスの拡充も重要になります。

例えばNetflixでは、アプリから新作コンテンツをプッシュ通知でお知らせする機能、過去の視聴履歴からのレコメンド機能、Eメールで別のジャンルの作品を紹介する等を用いて、積極的に顧客へアプローチしています。

顧客獲得の裾野を拡大するため、顧客へ1か月間の無料サービスを利用していただき、顧客がサービスに納得したら無料プランから有料サービスに移行してもらい、継続的なフォローアップでさらに高品質のプレミアムサービスの利用を促す、というように納得の水準に応じた段階的なサービス提供方法も検討されます。

参考資料


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