サブスクリプションビジネスの財務諸表の特徴

財務諸表は、企業のその年の経営状態の成績表です。1年に一度、決算の際に作成されます。財務諸表を読み解くことで、その会社の状況が見えてきます。

財務諸表とは

財務諸表には主に以下の書類が含まれます。

  • 賃借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書
  • 株主資本等変動計算書

このうち、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つを総称して「財務三表」と呼んでいます。

日本の財務諸表

日本の財務諸表は一般に公正妥当と認められる会計慣行を規範とした「企業会計原則」に基づき、さまざまな法律(金融商品取引法、会社法、税法)の求めに応じて作成されます。

会社法は「債権者保護と株主との利害調整」を目的とし、金融商品取引法は「投資家保護」を目的にとして株式公開会社等への投資判断に必要な経営成績や財政状態を開示し、税法は会社法によって確定した決算から「課税所得」を算定しています。

さらに上場企業では資金の動きに着目した「キャッシュフロー計算書」を作成しています。このキャッシュフロー計算書は昨年度末から当年度末の貸借対照表の動きと当期の損益計算を加味したものとなっており、その表示区分は主に「営業活動」による資金収支、固定資産の購入やM&A等の「投資活動」にかかる資金収支、および借入や増資等の「財務活動」に係る資金収支の3区分構成となっています。

アメリカの財務諸表(上場企業の場合)

会計の枠組みはFASB(Financial Accounting Standards Board)やAICPA(American Institute of Certified Public Accountants)等が定めており、上場企業は米国証券取引委員会(SEC, Securities and Exchange Commission)に基づいて、日本の有価証券報告書にあたるForm10-K(年次報告書)等を作成します。

サブスクリプションビジネス会社の財務諸表の特徴

ではサブスクリプションビジネスを行っている会社の財務諸表の特徴をAdobe社を参考に確認してみましょう。

サブスクリプション型へ移行したAdobe社の売上高(損益計算書)

Adobe社では2007年にShantanu Narayen CEOがデジタルサービスの拡大と、より多くの顧客獲得を目指してクラウドサービスを開始、2013年からは全てのサービスをサブスクリプションサービスに移行しました。2013年および2014年の売上高は2012年に比べて減収になり、この期間だけの損益計算書を見た場合は、厳しい経営環境になったと判断するかもしれません。

ですがサブスクリプションサービス売上高は2015年以降成長を続け、2019年度には99億ドル(1兆円超)に達し、2012年度の売上高44億ドルの2倍以上となる大成功を収めました。

Adobe社の貸借対照表

2013年度のGoodwill(のれん)残高は47億ドルで総資産103億ドルの約46%でした。2019年度のGoodwillの残高は106億ドルに増加し、総資産の約51%となりました。Goodwillの増加要因は企業買収によるもので、特に2018年にB2BマーケティングのMarketo社を47億ドルで、コマースプラットフォームのMagneto社を16億円ドルで買収した影響が大きいです。

なお、同社のForm 10-K(IR資料)では「のれん」について、これら買収が計画通りに進まない場合は、のれんの多額な減損損失の可能性があることを注意喚起しています。

負債の主な内容は顧客から受け取ったDeferred revenue(前受収益)が2018年度は29億ドルから2019年度には33億ドル(負債総額の33%)に増加しました。企業買収のための借入もあり、残高は2019年度で41億ドル(負債総額の40%)になりました。

Adobeは自己株式の取得にも積極的で、2012年には残高34億ドルだった自己株式が、2019年には106億ドルにもなっています。

Adobe社のキャッシュフロー計算書

Adobe社の2018年度および2019年度の「営業キャッシュフロー」はともに40億(4千億円超)ドルを超えています。2018年度には63億ドルもの企業買収投資があり、この資金源として短期の金融資産(有価証券等)の売却等で24億ドルを、金融機関からの借入で22億ドルを調達しています。また、自己株式の取得として2018年度は20億ドル、2019年度は27億ドルを支出しました。

まとめ

サブスクリプションビジネスモデルで有名なAdobe社ですが、積極的な買収によりB2CからB2Bにサービスを拡大するとともに、デジタルマーケティング分野にも進出し、企業統合によるシナジー効果を生み出しています。

これを財務諸表の観点から見ると、損益計算書(経営成績)からは売上高の拡大傾向が、貸借対照表(財政面)からは買収に関わる多額の「のれん」と「借入金」を確認できます。

また、事業から得られた潤沢な資金は自己株式の取得にも向けられ、1株当たりの利益を押し上げるとともに、ROE(Return of Equity)の向上効果を維持しています。

財務諸表の情報を、企業が発信するIR情報やビジネスモデルへの理解と組み合わせることで、企業の「今の状況」がどのようになっているのかを把握することも大切です。

出典


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