請求書の脱ハンコで経理のテレワークを支援

新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が2020年4月16日に発令され、2020年5月25日にすべての都道府県で解除される中で、テレワーク、または、リモートワークという新しい働き方を体験した企業が増えました。

しかしながら、テレワーク中であっても、紙の書類に承認のハンコを貰うためという理由で、出社しなければならないという状況があり、日本にとって脱ハンコが非常に重要な課題として挙がっています。今後、日本で脱ハンコを進めていくことはできるのでしょうか。

この記事では、経理に関する人員もテレワークに対応するために、請求書の脱ハンコを実現するためにはどうすればよいかを解説していきます。

テレワークとは

テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。

コロナ以前から、東京オリンピックをきっかけとした働き改革の一つとしてテレワークが挙がっていました。しかしテレワークによる在宅勤務をさらに進めるためには、日本独自のハンコ文化が障壁の一つとなっていました。

2020年4月27日の時点ですでに、経済財政諮問会議にて押印原則の見直しが指示されていますが、依然として、脱ハンコが急速度で進んでいるとは言い難い現状です。そのため、テレワーク中であっても、経理に関する人員が、請求書に上長の承認のハンコを貰うためという理由で、やむなく出社しなければならないという状況がありました。

「紙書類の確認や捺印などでやむなく出社」64.2%が経験アリ

テレワークで働いているときに、判子や書類へのサイン、オフィスに保存してある紙書類を確認するといった、出社しなければ対応できないようなタスクが発生してしまい、出社した経験があるかどうかを聞いたところ、約5人に1人(21.4%)が「頻繁にある」と回答。「ときどきある」と回答した42.8%と合わせ、実に6割以上の方がテレワーク中にやむなく出社した経験があるということがわかりました。

出典:アドビ「テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査結果」 2020年3月4日

これまでの「請求書にはハンコの押印」という文化のおさらい

ハンコの押印は日本特有の文化・商習慣であり、諸外国で似たような文化は見当たらないと言われています。法律上は印鑑が押印されていない請求書を使用することも認められていますが、今までは、多くの場合、請求書には担当者と承認者のハンコ欄があり、内部統制上の業務実施者や業務承認者がハンコを押した上で、顧客に請求書を郵便で送付するという流れが通常でした。ハンコが押印されていることで、顧客として、適切な承認の流れを経て請求が行われている旨を確認していたケースも多いのではないでしょうか。

法律的に言うと、文書の作成名義人の印影が、当該名義人の印章によって顕出されたものであるときは、反証のない限り、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと推定されます。さらに、私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定されるため、結果として、文書全体の成立の真正が推定されることとなります。

そのため、ペーパーレス化による業務の簡略化や資源の保全が日本で謳われて久しいにも関わらず、「請求書にはハンコの押印」という文化が変わっていかなかったという面があります。

しかし、テレワーク対応のために、この文化からの脱却が改めて求められています。

電子署名と電子契約

そんな状況の中、2020年4月27日の経団連会長による記者会見で、印鑑の代替的手段として電子署名が挙げられました。この電子署名は今まで印鑑が果たしてきた役割を電子的に果たすものです。この電子署名が広がっていけば、請求書を電子発行でき、ペーパーレス化が大幅に推進できます。

押印等のために出社しなければならないという話もあるが、IDの信頼性を印鑑に頼るのはデジタルの時代にそぐわない。電子署名で十分だと思う。マイナンバーの活用促進に向けて法改正の議論を加速する必要がある。

出典:定例記者会見における中西会長発言要旨 2020年4月27日

これまでも日本人の多くが既にECサイトを利用した際などに電子契約を行っています。しかし、金額の大きな契約や法人同士の契約など一定の契約については、あくまでも紙の契約書を用いることが多く、電子契約であることは珍しかったと言えます。

今後、電子署名が大幅に広がれば、電子契約もどんどん増え、ペーパーレス化が一気に進む可能性があります。

脱ハンコに向けての政府の見解

さらに、2020年6月19日、内閣府・法務省・経済産業省が「押印についてのQ&A」を発表し、特段の定めがない限り、契約書に押印をしなくても、法律違反にならないという見解を示しました。

問1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。

・私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。

・特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。

出典:押印についてのQ&A 2020年6月19日

特段の定めがない限り、メールの履歴、契約当事者の本人確認書類の保存などが押印の代用手段になる、という考えを政府が明言した形です。

この見解は今後の日本における脱ハンコを大きく推進していくためのものであると考えられます。

請求書の電子発行普及の機運

今回の新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言をきっかけに、顧客側からも紙ではなく電子発行された請求書の送付を依頼してくるケースが増えており、多くの顧客が請求書の電子発行を受け入れる可能性が高まっています。

一方で、これまでどおり紙での請求書発行を望むという顧客もいらっしゃいます。この場合、紙での請求書を発行することになりますが、上記の「押印が必ずしも契約上必要というわけではない」という政府の見解を伝えれば、押印なしの紙の請求書も十分受け入れられる可能性が高くなっています。

そうなれば、経理に関する人員が、請求書に上長の承認のハンコを貰うためという理由で、やむなく出社しなければならないという状況の改善も大幅に進むでしょう。

請求書の電子発行のメリット

請求書の電子発行には不要な出社の抑制以外に以下のようなメリットもあります。

請求事務の手間を削減する

請求書を電子発行にすることで、請求書を印刷し、上長にハンコを貰い、郵便で郵送するという一連の手間を省けます。この作業は他の業務でも忙しい月末・月初に行わなければならないことが多いため、この手間が省けることは大きな業務改善であると言えます。

請求書の再発行が容易になる

一度請求書を発行しても顧客からの依頼で請求書を再発行せねばならない場合は今までもあったと思います。紙で請求書を再発行する場合に比べ、電子での再発行は容易に行うことができます。

請求書送付のコストを削減できる

紙代・ハンコ代・切手代・封筒代・手間の多い作業を行う営業担当者や経理担当者の人件費などコストを削減できます。

請求書受領までの時間を短縮できる

郵便ではなくEメールにて送付できるため、顧客にとっても時間の面で大きなメリットがあります。

顧客の事務も減らせる

顧客とすると、請求データをCSVで受け取れれば、会計ソフトなどへの転記の手間が省けます。

請求書の脱ハンコで経理のテレワークを支援

ここまで、請求書に押印するハンコをなくし、メール送信に移行することで、テレワークに対応でき、さまざまなメリットが享受できることを見てきました。海外では進んでいる国も少なくないペーパーレス化が日本でも叫ばれて久しいですが、これまではなかなか進んでこなかったという現状があります。しかし、現時点での政府の動きやテレワークの浸透により、請求書の電子発行が大幅に進みそうな気配があります。

新型コロナウィルス感染症の拡大は日本にとっても非常に大きなインパクトがあったことは間違いありません。この現状を、請求書発行や経理の業務を合理化する機会へと変えていくことで、日本におけるペーパーレス化が浸透することを願ってやみません。それが、今後も継続していく新しい働き方への第一歩となるのではないでしょうか。

参考資料

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